
来年の株相場、「神のお告げ」消えた 兜町の師走風物詩
師走の証券街・兜町に毎年出回り、謎めいた言葉で翌年の株式相場を予言してきた通称「神のお告げ」。20年以上続いてきた風物詩が今年は12月になっても出回らず、証券マンの間で話題になっている。
「お告げ」は筆書きで、翌年の各月の予想が「軟調」「じり高」のように一言で記されている。さらに添え書きがあり、04年分はこうだった。「政治、経済にうす灯(あか)り 腹六分で慎重投機」「明日は明日のことにして 寝ませうか」
解釈次第という部分がなくもないが、「かなりの的中率」(市場関係者)と評価する声もあり、心待ちにする投資家は多い。12月に入ると、コピーが人づてに渡ってきたという。
長く「出所不明」とされていたが、02年に元新日本証券(現新光証券)株式部部長の茅野義明さん(76)が名乗り出た。その「神様」が今月、「もう出さない」と宣言した。株価は03年春にバブル崩壊後の最安値をつけてから上昇に転じ「転機が来た」と判断したという。
茅野さんは「もう昭和の人間の時代ではない。惜しまれるときに散るべきじゃないか」と話している。
では、去年の暮れに出た最後の予想はどうだったのだろうか、下の表に予言と日経平均の上昇率を比較して評価をしてみた。
お告げ | 評価 | 上昇率 | 終値 | |
1月 | 軟調 | × | +1.0% | 10,783 |
2月 | 一段安 | × | +2.4% | 11,041 |
3月 | 反騰 | △ | +6.1% | 11,715 |
4月 | 堅調 | ○ | +0.4% | 11,761 |
5月 | 上伸 | × | −4.5% | 11,236 |
6月 | 急落 | × | +5.5% | 11,858 |
7月 | 小反発 | × | −4.5% | 11,325 |
8月 | 往来 | ○ | −2.2% | 11,081 |
9月 | 下押す | △ | −2.3% | 10,823 |
10月 | 底固め | ○ | −0.5% | 10,771 |
11月 | 上向く | ○ | +1.2% | 10,899 |
12月 | じり高 | ○? | +1.6% | 11,074 (4日時点) |
解釈の仕方によって、当たり外れの判定が難しいところがあるが、私の見たところ5分5分といったところではないだろうか。前半の予言はかなり外れていたが、ここ数ヶ月はわりと的を得ている。12月はじり高とのことなので、このまま来年に向けて上昇して有終の美を飾ってほしいところだ。