

山一證券最後の社長野澤正平さんは、自主廃業後いくつかの仕事を経ましたが、今また証券業界で働く道を選んでいます。センチュリー証券野澤さんに伺います。
なんか目つきが悪いような・・・眠いのかな。

野澤さんが仕事に出かけるのは毎日6時。
おはようございます。どうも。今日は寒いですね。証券業界に入って三十数年になるんですが、ずっと6時です。
野澤さんは、山一證券が廃業した後、IT企業や建設業などに身をおいてきました。
障害対応のために朝早く出社するわけではないようです。

そして、去年6月、7年ぶりに証券業界に戻り、センチュリー証券の社長に就任しました。
NHKの計らいで、少しかっこいいポーズにしたようです。(笑)
山一證券時代の社員は7700人、今は200人あまりです。
野澤さんの社長室には大切にしている置物があります。
大切な置物とは何なんでしょう。ヤフオクで稀に売りに出されているあの山一證券の貯金箱とか。

「これはですね、一見見たところ、何だと思うかもしれませんが、牛が重いものを引いてる。」

「私が重いものを引いて・・・社員の生活ですよね。社員のことを思っていると。重さですね。ピッタリだと思います。私に。」
入○や万○証券のCMのような雰囲気。あれは馬だったかな。
そして、お決まりの回想シーン・・・

「私らが悪いのであって、社員は悪くありませんから。」
午後3時になると会社の中を歩いて回ります。会社が今どうなっているのか、社員に包み隠さず話そうとしているのです。
さすがに山一のときの教訓が生きているようです。

「センチュリーはその日のうちに考え方がズドーンと下まで行く会社になっていますから。」
。

大企業から個人投資家まで取引の大小にかかわらず自ら先頭に立って営業に出向きます。
一般の零細デイトレーダーも呼べば社長が家に来てくれるかもしれないですね。

半年あまり交わした名詞は5000枚に上ります。
地道な努力。

「日本ユニコムの二家会長さんが、昔私が社員を思った気持ちと、二家さんがセンチュリー証券の社員を思う気持ちが一致したというんです。センチュリー証券の社員のために一肌ふた二肌脱いでくれといわれて感銘を受けたのが動機でございます。」

「証券界に戻ってきて安心したと言うお客さんもいて自信が出てきました」
山一ほどの会社が破綻した原因は?
「言い難い点もあるんですが、もう少しガラス張りにして最高責任者の説明義務がもっと早く表に出ていればよかったと思います」
ガラス張りという意味では今の証券会社では徹底されているんですよね?
「センチュリー証券では徹底しています。」
山一の破綻で一般投資家を蔑ろにして大口投資家の債務を肩代わりしていたことについては?
「国のお世話になってしまったというのは残念であったと同時に真に申し訳ないことだったと思っています。」
証券業界の体質は変わっていますか?
「変わっています。そういうことがあってはいかんものですから。」
もう一度一般の皆様になんとおっしゃりますか?
「申し訳ない思いでいっぱいでございます。」
証券業界にとっての営業の大事さとは
「営業の原点って今も昔も変わっていないと思うんですよね。センチュリー証券は対面営業できたものですから。対面営業のよさ、対面でしか売れない商品がいっぱいあるんですよね。自分の信頼も売ることができるし。対面が営業の原点は変わっていないと思って、私は楽しくやらせていただいています。」
会うことで得られることってどんなことなんですかね?
「大事なお金を預けてもらうわけですから、商売ということよりもまず自分を知ってもらわなければならないんですよね。お前ならお金を預けられるよと。もちろんね、ネット取引もあるんですよ。それは別の話でね。」
今日はネット取引はおいといて対面営業中心の話題でした。
山一の破綻というのは不幸な出来事だったんですけども。ある意味人材供給源になったと私なんか思うんですけど、どうでしょうか?
「まあ、そういう意味ではそうかもしれません。確かに時代の流れが変わっていまして、証券と銀行の垣根がなくなってきて、我が証券界の卒業生は銀行にとっても役立っていると思うんですよね。」
野澤さん自身は悔しい思いはありませんか?

「うーん、悔しい思いはありますけども、悔しさをいつまでも思っていても前に進まないと思うんですよね。その悔しさを土台にして、もう一歩も二歩も先に進むという糧にしたいなと思います。」
当たり前の回答のようだけど、えらい!
元山一の方と集まられることがあると思うのですが、もう一度一からやってみようと思うことはあります?
「うーーん、難しいご質問なんですが、おそらくその質問は集まって証券会社?・・・そういう事は無いと思います。他のことも無いと思います。私は今のセンチュリー証券で骨をうずめようと思っていますから。」
今回はネット取引に関する話題は全然無かったが、野澤社長が証券業界で存在感をアピールしたのでよしとしておこう。ほりえもんのサンデープロジェクトを見るのをあきらめて、野澤社長を見た甲斐はあったかも。
野澤社長の話しを聞いていると、楽しく営業やっているという割には、そんなにトークがうまいわけでもないし、はっきりいって下手だし、表情も豊かじゃないように思えた。喋りの上手下手よりも野澤社長のような熱意と思いやりが営業において重要だということなのかもしれない。ネット取引にも、もっと力を入れてがんばってほしい。
■関連記事
・センチュリー証券、2日連続システム障害。3日連続なのかも。
・「将来の逆風への備えを怠るものは必ず徹底的パンチを喰らう」 松井道夫氏(NHK週刊経済羅針盤)
・「市場をこれだけ愚弄するものは、重大なペナルティを科せられる」西武鉄道に松井道夫が吠えた