ライブドアの100分割以降相次いだ超大型分割ブームに待ったがかかりそうだ。東京証券取引所が、上場企業に1:5以上の大型分割の自粛を要請することを発表したのに加え、証券会社各社は証券保管振替機構と組んで、株式分割した後の新株を分割翌日から売買できるようにするらしい。システムに負担のかかるだけのマネーゲームが無くなることは、ネット投資家にとっても、ネット証券業界にとってもいいことではないだろうか。

■ 東証 上場会社代表者への「大幅な株式分割の実施に際してのお願い」について

東証が上場会社に通知した内容は、
(1)1:5分割超の分割は、複数回に分けてやってほしい
(2)投資単位が1万円を下回ることとなるような株式分割は、投機的売買を招く可能性がある点などを踏まえ慎重に検討してほしい
(3)CBの発行・新株予約権の発行後6か月程度の間は株式分割の実施を極力避けてほしい

ということ。自粛できない場合はそれなりの理由を投資家に開示してくださいとも言っている。

東証の社長の「お願い」ぐらいで、上場会社がみんな守ってくれるのかという不安もありそうだが、東証は効果があると言っている。ジャスダックや大証もこれについづいするだろうか?

一方で証券会社の方も分割後の新株が50日程度売れなくなる状況を無くして、翌日から売れるようにするらしい。
株式分割の新株売買、翌日から・証券各社
 証券各社は株式の決済会社である証券保管振替機構と組み、企業が株式分割した後の新株を分割翌日から売買できるようにする方針を固めた。年内にも実施する。現在は新株の売買まで50日かかるため、投機的な資金が流れ込みやすく、株式分割がマネーゲームの温床になっているとの批判が出ていた。新株の速やかな売買を可能にし、正常な株価形成を促す。

 株式分割とは1株を複数に分けて株式数を増やすこと。売買単位を下げ投資家のすそ野を広げるメリットがある。だが、大幅な分割の場合、新株が交付されるまでの約50日間は実際に市場で売買できる株数が極端に少なくなるため、わずかな買いでも株価は急騰しやすい。


これで、ライブドアが自分の株や子会社の株で100分割をしてきたのがやりずらくなったのは言うまでもない。ライブドアの財務戦略に一定の影響はあるだろう。

ネット証券や証券取引所としては、分割直後に比例配分狙いで細切れ注文がきてシステムに負担がかかっていたのが解消される。

個人投資家側のメリットになりそうなのが、分割銘柄の新株分が代用不適格にならなくて済むということだ。これで、権利日前に一旦売ったり、信用枠縮小に備えてしかたなく信用返済売りをしなくてもよくなる。

それと、最近は大型分割がその銘柄だけにとどまらず、新興市場全体に影響が出てしまうことがあったので、これが回避できるはずだ。あとは、無期限信用で弁済期限が設定されなくなるようにできればいいのだが。

証券業界が対策に乗り出すのが遅かったのではないかとも思えるが、株券無券面化など待たなくても、一気に分割問題が解決しそうで何よりだ。

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