村上世彰氏M&Aコンサルティング(村上ファンド)の村上世彰社長は、マネックス・ビーンズホールディングス主催のオルタナティブ投資セミナー(3月12日)で講演し、約2000人の個人投資家の前で、経営者の既得権益を守るだけで、一般株主の利益を考えない"のほほん"とした経営者をクズと非難し、フジテレビのTOBに応じた法人株主については「自社の株主の利益を第一に考えて、判断すべき」と述べた。また、6月のニッポン放送の株主総会に自身が出席し何らかの発言するつもりであることを表明した。

● 官僚時代、クズみたいな経営者がたくさんいるのを自覚

「オルタナティブファンド私も応援します。」

・経済産業省で会社の社長と話をする機会がたくさんあったのですが、業績が悪いのをみな日本の経済が悪いためだと言ったり、人のせいにする人ばかりでした。

「ところで、自分で自社の株をどれぐらい持っているのですか?と聞くと、
『自分の会社の株なんて怖くてできませんよ。』と言うんです。」

日本にはそんなクズみたいな経営者がたくさんいるんです。

● 敵対的M&Aがなぜ悪なのか?

「堀江君がやっているのが敵対的かどうかは別として、敵対的M&Aが行われる素地はようやくできてきました。」

・私の場合は、現取締役ではそれなりの株主価値しか実現できず、買収者が指名した新しい経営者が入れば、企業価値が上がる企業が買収の対象。
・敵対的M&Aが行われる原因は、コーポレートガバナンスの問題にある。

・敵対的M&Aをやって、いったい何が問題あるのか?
・雇用とか事業が失われるというが、敵対的M&Aは、既得権益者を排除して経営上の非効率なところを是正するために行われる
・むちゃくちゃ社員の給料が高いのはおかしい。それを是正して、退職者が他の局に行けば、人材がどんどん入れ替わるようになっていい。
・技術の流出を問題にする人もいるが、買収者はその技術を伸ばせると考えて買収している。

・なぜなら、敵対的買収者は資本という大きなリスクを取っているから。

● 敵対的M&Aに対する対応

・敵対的M&Aの防衛策は株主価値の向上による時価総額の向上しかない。

・M&Aへの防衛策に対する法律上の解釈を明確化するということには私も賛成です。
・しかし、買収者からの提案を受け入れるかどうかは取締役会ではなく、株主が判断すべきものなので、敵対的M&Aに対する新たな法的整備は必要ないと思います。
・株主平等の原則に反したり、経営陣の保身につながるような防衛策は認められません。
・ポイズンピルも、全株主に対して発行する新株予約件については株主総会で3分の2以上の承認を得るなどで導入してもいいと思う。

・時価総額を高めることが敵対的M&Aに対する最善の方法です。

● ニッポン放送の事例

「マーケットでは6500円とかで売買されている中で、5950円で売った方がおられたら、手を上げてみてください。」

「いませんよね、個人投資家の方には。もしかしたら法人株主の企業の方がいたらいるかもしれないけど。アメリカでは絶対いるわけありません。」

某テレビ局について
・上場の目的は何かというと、身内の争いで創業者の持ち株比率を下げるため。

「経営者は、"のほほん"としているが、そんなのはクズです。」

某ラジオ会社について
・ここ10年間、ほとんど単体利益が上がっていない。経営者は「申し訳ございません、私が悪うございました」とまず反省するのが筋、
・上場していること自体がナンセンス。株を買い取って上場廃止すべき。
・上場しなくなってその分、別の会社にお金がグルグル回った方がいい。
・テレビ局との取引なんてせいぜい4%程度

・なぜ給料の一部で自分の会社の株を買わないのか?
・経営者や従業員に株主を決められてたまるか!
・保身を考えるなら、上場なんかするな!株主が経営者を決めるものだ。

村上ファンドとしての考え方
・ポイズンピルは株主総会が決めるならいい。
・取締役会でボーンと1株主の比率を高める、「あたなた一体何様?」と言いたい。

「300億円でニッポン放送株を取得しましたが、フジテレビがを公開買い付けを発表した時、ありがとうと思いました。涙が出るほど嬉しかったです。」

・しかし、ファンドとしては市場価格が公開買い付け価格を上回る状況では応募するわけにいかない。
・ニッポン放送が、フジがTOBの目標を50%から25%に下げたことに、賛同したのには激怒しました。

法人株主の対応について
・お取引があるからTOBに応じるのには、「あんた総会屋かい?」と言いたい。
・株持っているから取引しろと言っているようなもの。
・トヨタなどは立派だと思うが、他の応じた企業は残念に思う。
・自社株主の利益を第一に考えて、判断すべきだ。

・月曜日の株の値動きが投資家の皆さんの評価になる

● 宣伝

宣伝もしていいと言われたので、商品先物のネット取引会社を立ち上げた車田さんがいます。私や松井証券・楽天が出資したのですが、将来は日興ビーンズさんでも取引できるようにしてくれると思います。ドットコモディティという会社です。営業マンの勧誘ではなく、ネットで自分で判断して買えるようになる画期的なことです。

● ニッポン放送株主総会について

取材には応じないようにしているので、当分みなさんに会えませんが、6月には機会があります。
ニッポン放送の株主総会です。
「63000円で私の講演が聴くことができます。6月の株主総会でお会いしましょう」