カブドットコム証券斉藤正勝社長ライブドア証券などの金融事業を傘下にもつライブドアのメディア進出に対して中立性が保てるのかという問題が指摘されている。テレビ東京のインタビューを受けたカブドットコム証券の斉藤社長は「当社はネット放送はやっている。クロージングな所なら可能。放送の公共性となるとノウハウがないのでコメントしようがない」と答えた。証券業界ではかなり前からインターネット放送を行っているが、現状ではどんなことを放送しているのだろうか。

カブドットコム証券 斉藤正勝社長
「うーん・・・確かに放送はわからないので、何とも言えないのですが、当社は当社のお客様向けにインターネット放送をやっているんですよね。クロージング名ところであればそれはできると思うのですが、(放送の)公共性となるとノウハウが無いのでコメントのしようが無いですね。」
kabu.studio(カブスタジオ)
社長室を廃止して作ったという、カブドットコム証券の放送スタジオ

テレビ東京のインタビューに対して、公共向けの放送についてはコメントしようがないと言った斉藤社長だが、カブドットコム証券ではすでにインターネット放送用のスタジオをつくり、投資情報やサービスの紹介・利用方法を動画とスライドで配信している。ネット証券業界だけでなく、IT業界の中でもネット放送の体制は進んでいる方かもしれない。

一方、ライブドア。
「堀江社長 所信表明」
会議室を臨時に使った感じだが、ライブドアが嫌いな人が見ると「まるでアラブのテログループの犯行声明の動画配信みたい・・・」とのこと

ITとメディアの融合を謳うライブドアだが、放送技術はまだ未熟。堀江社長が出演したワイドショーを参考にしたほうがよさそうだ。安上がりで簡単に放送できるといことを証明する意味ではいいのかもしれないけど。ラジオはともかく、まだテレビに進出するのは早いのか?


ライブドアがメディアを欲しがっている理由がはっきりしないが、一つはマスメディアの視聴者をインターネットポータルサイトに誘導して物販で稼ぐということ、もう一つがロイター、ブルームバーグのような経済専門チャンネルでビジネスを展開したいということが予想されている。

前者は別として、後者は日本でも、ブルームバーグ、日経CNBCがインターネットで経済情報を動画配信している。証券業界はそこに人を出して解説をしてあげるという形式が主流になっているのだが、カブドットコム証券のように自分で顧客向けに放送を始めているところもある。

中でも大和証券のダイワインターネットTVは配信している情報が豊富。当日のマーケット情報、アナリストレポート上場会社の紹介など、こんなに無料で見させて採算性考えているのかと思ってしまうぐらい揃っている。

IR情報だとネット証券評議会の「トップが語る」もあるし、同評議会は株式会社 ストックボイスと協力してWEBラジオ「ストックボイスmarket」という市況情報ラジオのライブ配信を行っている。

そう言えば、マネックス証券は商品の紹介のために、サンプラザ中野と眞鍋かをりによるマネックスNEWSを配信している。おもしろさでは、これが一番だ。

また、セミナーを動画で配信するところもある。楽天証券・オリックス証券はセミナーの動画を顧客向けにオンデマンド配信している。



堀江社長のやりたがっている、金融とITの融合はどんなものになるのか今のところ不明だが、既に証券会社の一部でやっている動画配信の状況を見ると、これをマスメディア向けにやって効果があるとは言い難い。ただ、既存メディアのノウハウをネット放送に生かす意味はありそうだ。ニッポン放送を買収したライブドアと、フジテレビの経営に参画しそうなSBIの今後のメディア戦略にも注目が集まりそうだ。