SBI北尾吉孝CEOSBIの北尾CEOは、同社のホームページ上で、フジテレビジョン・ニッポン放送とのファンド設立に関してのQAコーナーを公開しているが、その中でエッジ(ライブドア)などが過去行った1対100の株式分割について「個人投資家の育成を阻害し、資本市場の健全な発展を汚すもの」と激しく非難している。

Q&Aコーナー(フジテレビジョン・ニッポン放送とのファンド設立に関して)
Q13.4月3日(日)及び4月5日(月)の一部新聞報道の問答において「資本市場を汚したことへの義憤」と述べているが、詳しくはどういうことか?


北尾CEOがライブドアの財務戦略を非難したのはQ13で、一部新聞報道の問答において「資本市場を汚したことへの義憤」と述べていることについて詳しく書いている。他のQAが長くても20行ぐらであっさり書かれているのに対して、このQ13は株価のグラフ付きのかなりの長文で北尾氏の力の入れようが見てわかる。ちなみに、イー・トレード証券のトップページからもリンクされている。

この中で、北尾CEOは「次の3点において強い「義憤の念」を抱いた」としている。

(1)資本市場を投機の場にしかねない株式の大規模分割
(2)相手の立場を無視するような敵対的買収
(3)主幹事証券会社としての責任不足


(1)は、以前ネット証券評議会の松井道夫社長が「わけのわからない分割は地獄に堕ちろですよ」と吠えたことと同じで、北尾CEOは、「1対100の株式分割や1年で株式総数を1万倍にするような行為は、資本市場の健全な発展という観点からは許されない行為」、「投機を目的にする投資家を利する一方で、個人投資家からの資本市場に対する信頼を傷つける結果となり、今後求められる個人投資家の育成を阻害し、資本市場の健全な発展を汚すもの」と激しく批判している。

(2)は、ニッポン放送買収問題そのもののことで、ライブドアの強引な敵対的買収を非難するとともに、欧米の様々な投資家から買収をしないかと誘われているが断っているとも述べている。

(3)は、ライブドア証券初めて主幹事証券会社になったエフェクター細胞研究所の暴落問題について。
「IPOは時期尚早と思われていたあるベンチャー企業の株式新規公開に、それまで主幹事をやったことのない証券会社が主幹事として名乗りを上げた時、私は主幹事証券としての責務が果たせるのかどうかを非常に憂慮しました。」と主幹事証券会社が決定したときから疑問を持っていたことをうかがわせている。
また、「他人事ではなく、資本市場に深く関わる者として、非常に深刻に受け止めております。」、「一昨年来続いてきた資本市場におけるIPOの良好な環境全体に冷水を浴びせることになるのではないかと憂慮している。証券会社が主幹事証券会社となることとは、投資家に対しても責任を背負う、非常に重たいもの」とライブドア証券の主幹事としての責任不足を指摘している。

このように、北尾氏はライブドアの財務戦略やライブドア証券の主幹事業務を強く非難しているわけだが、朝日新聞の取材に対して北尾氏は「今回の行動の原点には、堀江氏が資本市場を汚したことへの義憤があった」と述べていたことから推測すると、SBIや北尾CEOは証券市場で暴れるライブドアを懲らしめるために、ニッポン放送・フジテレビ問題に介入してきたとも考えられそうだ。ライブドアではなく、普通の外資系企業だったら、もしかしたら介入はなかったかもしれない。

「堀江社長への十分な抑止力」SBI北尾氏、本紙に語る(asahi.com)

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