いずれも最高益になった大手上場ネット証券の2004年度決算発表が4月末までに行われたが、各社のトップの発言を新聞などから拾って、まとめてみた。


松井証券 松井道夫社長

「ビジネスモデルは、株式売買にこだわる」
「営業収益経常利益率が初めて六〇%を超え、金融界では際だった収益力を持つに至った。オンライン証券の成長は踊り場と2年前に言われたが、数字で実力を証明できた。大手証券が無期限信用取引の導入に続き、ネット手数料を引き下げてきたが、そこまで追いつめたかと光栄に思う」
「(営業収益に対する経常利益率が61%)日本の企業で1番高いものとみられる」
「日本企業では最も高いレベル」

「団塊世代の退職でネット証券の利用者はますます増える。予想ではないが、経常利益で3並び(333億円)をやってみたい」
「お茶の間でも株のことが取り上げられ、株式投資や資本主義を意識するトリガーとなった」
「日本人全体が株式市場に関心を持った」

「手数料を無視するわけではないが、顧客が取引しやすい仕組みを提案する方が重要だ。既にデイトレーダーは手数料が割安な他社に取られたが、今後、株式市場に参加する団塊世代を取り込めば問題ない。そのための手は打っていく」
「デイトレーダーはイー・トレードに任せるか」

「個人の投資へのシフトはまだまだ加速する」
「まだ、具体的な数値では表現しづらいが、個人が(預金から)株式市場にシフトしており、(急増する)タイミングを探っている」
「(06年3月期も口座開設のペースが)かつてない高水準」

「発行市場でも革命を起こす」
「新規公開企業の資金調達を手助けし、個人投資家のニーズを満たせるだけのシェアを取りたい」

イー・トレード証券 井土太良社長
「(堅調に口座数を増やしている背景には今年4月の)ペイオフ(全面解禁)で、明らかに貯蓄から投資への動きが明確に出ていることがある」
「ペイオフ(預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)全面解禁と低金利で、個人が貯蓄から投資へのシフトを進めている」
「貯蓄から投資への流れの中で株取引が浸透してきている。昨年度は新規口座開設者の半分以上が株取引の未経験者だった」

「取引量はそんなに落ちていない。1、2月とほぼ変わらないペースで堅調だ」

「将来的に株式売買で収益が上がらないことを想定し、その他の分野でも稼ぐ」
「IPO(企業の新規株式公開)による手数料や債券売買など、その他業務で収益の確保を図る」

マネックス・ビーンズ・ホールディングス 松本大社長
「年度後半は東証一部の出来高が20億株に近い水準にあり、過去最高の営業収益を計上。販売管理費も安定的にコントロールできた」
「(外為保証金取引の手数料収入は14億1000万円になり)収益の柱のひとつになってきた」(上田雅貴経理部長)

「過去最高の更新を狙う」
「三―五年後には、その他の営業収益を四割強に引き上げる」

カブドットコム証券 斉藤正勝社長
「(営業収益の伸びに対し)実質の販売管理費の伸びは抑制している」