合併の先輩格、松本大社長が不気味なつぶやきのエントリーに、る〜さ〜(臼田さん)からトラックバックをもらったけど、確かにカブドットコム証券はこれまで統合・口座受入れを複数こなしているので、実績・経験は心配なさそうだ。

カブドットコム証券としては、約50名たらずの社員のリソースの一部をMeネット証券との統合に投入しなければならなかったり、そのために他社との競争力と利益率が一時的に低下するのではないかというリスクというか課題があると思う。

 ただ、マネックス・ビーンズの統合では顧客数の多いマネックス側の商品・システムへの投資が抑えられたのに比べ、カブドットコム・Meネットの場合は顧客数の多いカブドットコムのシステムが存続する見込みなので商品・システム開発がしずらくなるということは無さそうだ。

 むしろ、カブドットコム証券とその株主が心配したほうがいいのは、Meネット証券の方が統合するまで営業の力を抜いて顧客を他社に奪われてしまうのではないかということかもしれない。これは基本合意から最終的なシステム統合までの期間が長ければ長いほど影響が大きくなるのではないだろうか。これはカブドットコム証券の経営陣だけでは解決しにくい問題だ。どうにかして、Meネット証券の顧客に手間をあまりかけさせないで、統合までとどまってもらうか、カブドットコム証券に勝手に移ってもらうようにしてもわなければならない。合併したけど、預り資産がなくなってましたでは意味がない。たとえば、合併が正式に決定した後できるだけ早く、Meネット証券の顧客にカブドットコム証券の仮IDを発行して取引画面を体験してもらうことで顧客を逃さないようにしたほうがいいだろう。まあ、Meネット証券の顧客は、三菱グループだからという理由で使い続ける人も多いと思うので、そういう顧客はあまり逃げないとは思うけど。




話は変わるけど、カブドットコム証券とMeネット証券が合併する前に、スクエア・エニックスのよぅに合併承認の臨時株主総会は開かれるのかどうか考えてみたんだけど、どうやら簡易合併方式を採用しそうなので、臨時総会は無さそうだ。簡易合併は1997年の商法改正で認められた制度で、

(1)存続会社が解散する会社の株主に対して発行する新株数が、存続会社の発行済株式総数の20分の1以下であること。
(2)解散する会社の株主に対して支払われる合併交付金が、存続会社の純資産額の50分の1以下であること。
(3)合併に反対する株主の持株総数が、存続会社の発行済株式総数の6分の1以下であること。


以上の3つの条件を満たしていれば、株主総会を開かなくても取締役会の決議で合併を承認できるものだ。実質的には(3)が満たせればいいんだけど、最近の四季報ではカブドットコム証券の浮動株は12.7%。個人で株を市場で集めたとしても6分の1を持つことは難しい。単独で6分の1以上を持っているのは、伊藤忠商事とUFJグループ(の合計)だけなので、合併に異議をとなえる株主が現れて、臨時株主総会を開く必要がでてくることはなさそうだ。

やったらやったで、また6月末のような個人株主と経営者の質疑応答が見られて面白いんだけど、費用がもったいないので株主的にはやらないほうがいいのかもしれない。

ただ、第三者機関に統合比率を決定してもらいましたとか言って、カブドットコム証券の株価が急騰しているタイミングで、過去3ヶ月の市場価格の平均で計算されたりすると、株価が下落して嵌め込まれる人もいるかもしれないので、あまり損しないように社外取締役のけん制力を期待したいところ。

【関連サイト】
Meネット証券との合併基本合意(臼田琢美の「かぶろぐ(kabu.log)」)

【関連記事】
カブドットコム証券とMeネット証券が合併の基本合意に達したそうだ::[ネット証券Blog]
合併の先輩格、松本大社長が「問題は上場企業と未上場企業が合併する時です。」と不気味なつぶやき::[ネット証券Blog]