楽天証券国重惇史社長日経新聞によると、楽天の決算説明会で、楽天証券の国重社長は、手数料の値下げについて、「どれをとってもイー・トレードより安くする。イー・トレードを凌駕して北尾さんの背中が見えるようになりたい」と語ったそうだ。また、楽天証券の上場については慎重なコメントをしている。

楽天、早期に経常利益1000億円目指す=三木谷社長◇ロイター - nikkeibp.jp - 企業・経営

金融事業の中核である楽天証券は、10月1日の約定分から手数料を大幅に引き下げると発表した。これにより、顧客数の拡大を目指す。

現時点でネット証券最大手のイー・トレード証券の現物株取引は約定毎50万円までで525円だが、楽天証券は472円にするほか、信用取引でもイー・トレードより低い価格にする。

国重惇史・楽天証券社長は、「どれをとってもイー・トレードより安くする。イー・トレードを凌駕(りょうが)して北尾さんの背中が見えるようになりたい」と語った。

手数料引き下げにより、楽天証券の経常利益率は低下しているが、楽天の三木谷社長は、「多少アグレッシブなプライシングでも他でカバーできる」と自信を示し、グループ内でシナジー効果が上がっていることを強調した。

楽天証券自体の上場の可能性について国重・楽天証券社長は、アパレル大手のワールドが非公開化したことを触れながら「今は目先の利益にこだわる地獄に自らを引き込むことはしたくない」とコメントした。


決算発表のビデオを見てみたが、楽天証券は、かなりイー・トレード証券のシェア拡大を気にしているようだ。また楽天グループ・三木谷社長としても、ヤフーがイー・トレード証券と証券仲介業で提携したため、楽天証券単体の利益率を多少犠牲にしてでも楽天市場とのシナジー効果を出したいのだろう。ただし、そのために、今年に入ってからの一般株主への利益還元が強く叫ばれるようになった状況の中では、楽天証券の上場に慎重にならざるを得ない事情がありそうだ。

当面、イー・トレード証券と身を削っての消耗戦に目処が立つまでは、グループ戦略重視で、上場見送りと見ておこう。

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