楽天証券楽天証券は、10月から予定していた新手数料「ワンショットコース」の開始を12月に延期することを、国重社長の名前で発表した。業界トップのイー・トレード証券へ挑んだ史上最大の作戦は、想定外の空前の活況によって延期を余儀なくされた形だ。

お知らせ>弊社社長より新手数料導入延期について
お知らせ>弊社社長より新手数料導入延期について−概要とQ&A
お知らせ>10月からの史上最大の作戦!

国重社長としては苦渋の決断だったと思われるが、この状況ではやむをえない選択だろう。しかし、どんな証券会社でも儲かっている活況の中、開始直前になって手数料値下げを延期するという発表に、一部の投資家からは失望の声が出てきそうだ。

楽天証券が延期を決定した理由としては、第一に安い手数料にひかれて口座開設が殺到し、システムの増強が間に合わなくなっていることが当然あげられる。また8月のセンチュリー証券が金融庁から行政処分を受け、ほかのネット証券への金融庁の監視の目が強まったことも影響していると思われる。イー・トレード証券の井土社長は手数料値下げについて対抗するものの効果に否定的な発言をし、松井証券の松井社長もシステム問題へ懸念を表明している。また、楽天証券の口座開設に時間がかかったり、電話がつながらない状況が続いたり、eワラントの取引時間を一時停止する対応も長引き、サービスの質の低下も目立っていた。この上、新手数料体系や楽天ポイント付与特典サービスを導入すると、手数料計算ロジック変更により買付余力計算処理や夜間バッチ処理に悪影響が出る可能性もあっただろう。

楽天証券のこの判断結果は正しかったかもしれないが、判断が遅かったことと、かなり前からアナウンスしていたのに準備不足だったことは責められなければならない。なお、楽天証券によると、この延期についてお詫び処置を検討しているそうだ。

肩透かしを喰らった形のイー・トレード証券は、どうやら予定通り手数料値下げを実行する模様。楽天証券が12月の値下げ実施時に値下げ額を上積みしてくるかもしれないけど、一連の手数料値下げ合戦は、これで終焉になりそうだ。

【手数料値下げ競争関連記事】
松井証券 松井道夫社長 一部のオンライン証券でのシステム問題発生に懸念表明。
イー・トレード証券井土社長、「(楽天証券の値下げに)当面付き合う」も、「手数料の引き下げだけで顧客を取れる時代では無くなってきている。」とコメント
楽天証券 国重社長「まだ手数料の値下げを実施する余地がある。イー・トレード並みのシェア25%にしたい。」
イー・トレード証券 佐藤執行役員「今後、数十円単位の引き下げはあるかもしれないが、100円、200円という大幅な下げは考えにくい。」
イー・トレード証券が、楽天証券の値下げに対抗して、スタンダードプランの手数料を値下げ(10月から)
楽天証券曰く「史上最大の作戦!」 ついに新手数料体系「ワンショットコース」を発表