NHK経済羅針盤SBI北尾吉孝さん10月2日のNHK経済羅針盤のゲストとして、SBIグループ代表でイー・トレード証券会長の北尾吉孝さんが出演し、ライブドアの100分割とライブドア証券の主幹事案件の失敗について、「彼は(堀江さん)は証券市場の清冽な地下水を汚した」と非難した。また、村上ファンドの阪神電鉄の株式を取得については、「全く理解できない。阪神ファンの1人として球団に何らかの影響が出るようなことだけは避けていただきたい(笑)」とコメントした。




休日、愛犬のジャスミンちゃんと戯れるこの人が、今日のゲストSBIグループ代表の北尾吉孝さんです。

北尾さんは講演会に引っ張りだこ。

北尾氏「ライブドアが、ニッポン放送を勝ったとしましょうか。この二つの会社、歴史も違う。やってることまったく違うのに、企業文化として融合できますか?企業文化というものを軽視してはダメです。」







北尾さんは日ごろから経営者のとるべき姿を中国の古典に見出しています。厳しい経営判断が求められる企業買収を進めるときにもその決断のよりどころとしています。

北尾氏「いざという時に、自分の最終的なジャッジをするときの判断材料になるんですね。そういうものを身に付けていると、判断がぶれないということになりますね」







北尾さんは、このニッポン放送問題に乗り出してこられたときにですね、「義憤に駆られて」とおっしゃったんですけど、何に対して義憤を感じられたんですか?

北尾氏「それは、堀江さんがとったいろんなことが、社会正義に照らし合わせて、これは善くないなということで、特に証券市場、私が野村證券にいた当時からですね、北浦さんの言われたことですけど、清冽な地下水これを汚してはいけないんだと、そういうことを野村證券の中で非常に思っていたんですね。彼(堀江氏)がやってきたこと、例えば1対100の分割。分割というのは基本的に株価には中立なものなんですけども、一時的に株価が大暴騰し、そしてまた元に戻る。こういうような山と谷を作っちゃう。これは需給のためにそうなるんですけどね。そういうことをやること自体が、それまでは分割というのは分割余力というのがあって範囲が制限されていた、それが商法改正されてできるようになった。そしたら何でもやっていい、ここがそもそも僕はいけないというふうに思ったんですね。知らない投資家が、それに乗っけられて高いところで買っちゃったりということが起こる。その上に彼は、高くなったときに株を使って企業買収をする、Stock for Stockというやり方ですけども、それも買う方にとっては有利に買えますけども、買われる方にとってはたまったもんじゃないでしょということですね。それと彼の子会社の証券会社、ライブドア証券、これが主幹事をはじめて勤めるのに、エフェクター細胞研究所という会社の主幹事になった。たまたまソフトバンクインベストメントが投資していたことがあるんですが、当面公開の見込みなし、さらにちょっと無理かなと思ってたところに、彼は主幹事になる結果やっぱり最初から公募価格大幅割れというようなことになるわけですね。したがって彼は証券市場の清冽な地下水を汚した、こういうことなんですね。」







村上ファンドが、先週、阪神タイガースを傘下に持っている阪神電鉄の株を取得して筆頭株主に躍り出たというニュースが話題になっているんですけども、村上さんともお付き合いがあると思うのですけども、何かこの投資の目的みたいなものをお聞きになってます?

北尾氏「いやーまったくわからないですね。まあだいぶ売られたんじゃないかと思っていたんですけどね。頻繁にそういうことをやられた方だから、そうしたんじゃないのかなと。当初は村上さんという方はもともと行政におられた方だから国家社会的な観点で、日本の企業はどうあるべきかあるいは株主というのはどうあるべきか、そういうことをお考えになっていろんなことをやってるのかなあと思ってたら必ずしも最近の印象ではそうではない。例えば今回のケースなんかも私はまったく理解できない。阪神ファンの1人として今回の優勝を喜んでいるんですけど、阪神球団に何らかの影響が出るようなことだけは避けていただきたい(笑)」



今年8月、突然ライバル会社がイー・トレードより安くすると発表してきました。これを知った北尾さん、直ちにライバルに対抗するように指示。手数料の値下げがネット上に発表されるまでわずか3時間しかかかりませんでした。

北尾氏「間髪いれずに同じ日に下げると発表する、それはもう規定路線ですね。今後他の所がどっかやると言っても、必ずそうする。こうやって勝ち抜いていく。Winner takes allの世界を作り上げていく。」



銀行業への参入を表明されているんですけども、北尾さんがどんな銀行を作るんだろうとみんな関心があるんですけども、顧客に対してどんなアピールをするという狙いがあるんですか?

北尾氏「今、ネット銀行を作るということをいろいろなところと話をしているわけですけども、それ自体はそれではるんですけども、それ以外にも例えばどっかの銀行に出資することもありうるかなあと既存の銀行にね、ということも考えています。いずれにしてもここ1、2ヶ月の間に結論出したいというふうに考えているんですけども、そもそも銀行業というのは非常に難しいものなんですね。難しいから本当に最終段階になってからじゃないとやるという形にならなかった。」

難しいというのは、儲ける形を作るのが難しい?

北尾氏「日本の銀行というのは貸し出しマージンが非常に低い、欧米に比べても2分の1とか3分の1ぐらいしかないんですね。フィービジネスも日本の銀行は非常にお粗末な段階、債券の運用利回りも非常に低い、それは債券市場が日本にちゃんとできてないから。そういう状況の中で銀行で儲けていくというのは並大抵のことじゃない。儲けられるというふうに思っているのは、イー・トレード証券をはじめ私ども企業生態系として銀行をサポートできるような体制が整った、その体制を整えた時点で銀行をやるというのなら非常にうまくいく可能性がありますね。例えばネットの銀行を作れば、ネットの証券と非常にシナジー効果が出るんですね。ちょうどわれわれのアメリカのパートナーであるE*tradeFinancialがテレバンクという銀行を買って今E*trade銀行になってますけども、これがやっぱり大きな役割をしているんです。証券と銀行がうまく連携していくことによって大きな収益を生み出していると、今アメリカの場合だとE*tradeFinancialの銀行部門が4割ぐらい利益出ている状況になっているんですね。」



ということで、北尾CEOによると1,2ヶ月以内にネット銀行の具体的な中身が明らかになるようだ。それはともかく、愛犬のジャスミンちゃんと戯れる北尾さんはかわいすぎ。

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