東京証券取引所は、10月8〜10日の3連休中に株式売買システムの処理能力を緊急増強したと発表した。1日あたり620万件が上限だった処理能力を、750万件に引き上げた。本来は来年2月に増強を実施する予定だったが、注文件数が当初の予想を上回るペースで増加する傾向にあることから、予定を一部前倒ししたそうだ。
株式売買システム 能力増強に関する緊急対応の実施について 2005/10/11

当取引所は、平成17年7月26日にお知らせしましたとおり、株式売買システムについて、処理能力の一層の向上を図るためシステムの拡張及び機器の増設を行うこととし、これまで対応を進めて参りました。
しかしながら、注文件数が当初の予想を上回るペースで増加する傾向にあることから、予定を変更して緊急対応を実施し、注文受付ファイルを750万件までに拡張し、平成17年10月11日より本番稼働しておりますのでお知らせ致します。
なお、その他の能力増強に係る対応につきましては、今のところ、平成18年2月を稼動目標として引き続き対応を進めて参ります。


ということで、これを読んで思い出したのは、過去最高の出来高37億株を記録した9月21日の翌日のロイターの記事。

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東証によると、同取引所のシステムが対応できる注文件数の上限は、1部、2部、マザーズの合計で620万件。前日の件数は450万件だった。

 来年2月までに900万件まで増強する計画だが、「1部市場で60億株の取引があればパンクする」(準大手証券ストラテジスト)と懸念する声も出ている。


9月21日は出来高37億で、注文件数が450万件。この時はシステムの限界620万件に対して、170万件しか余裕がなくなっていたのだ。今回の3連休の増強で+130万件増やして、あわせて300万件分過去最高よりも余裕ができたということになる。これで年内はなんとか大丈夫かもしれない。

しかし、来年はどうだろうか。年末年始は休暇中の個人投資家の売買が増えるし、IPOが少なくなる時期で新興市場の銘柄も流動性が増えてくる。1年前も年末年始はシステム障害が起きると予想して、予想通り楽天証券などで発生していたが、今度の年末年始は証券取引所を含めて、もっと気をつけなくてはならない。2月の東証の増強まではなお要注意だ。

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