松井道夫社長松井証券の松井道夫社長が、インターネットラジオ放送「ストックボイス」の番組に出演し、マーケットスピード(楽天証券)と比較にならないぐらいすごいツールを松井証券が開発済みで、それを原則無料で利用できるようにするつもりであることを初めて明らかにした。これまで松井証券ではリアルタイム株価更新ツールは提供してきたが、発注機能はついてなかった。松井社長が明らかにしたツールは、マーケットスピードを超える機能を持つということは、当然発注ができるようになっていると思われる。

東京株式実況中継!ストックボイス - 株ラジブログ : ネット証券評議会議長、松井道夫松井証券社長生出演記

−今後、通期を通して力を入れてやっていきたいことは?

「やっぱり楽天がああいう状況になっていますからね、楽天に限らずオンライン証券の命というのはシステム、これに尽きるわけで、こういう意味ではシステムについて、うちだけでなくてですね、イー・トレードだとかですね、そういったところも含めて、信頼性を増すために、お客さんからの信頼を得るためにはどうすればいいかと、こういったことに全力を尽くしてやっていきたいですね。」

−あとIPOですね

「IPOですね、これは正直言って、苦戦しております。と言うのは、セカンダリー(流通市場)でオンライン取引をうちが作り、イー・トレード等々は同士としてこのフィールドを拡大していったと、何よりもお客さんがそれを支持してくれたからこういう状況になったわけですね。一方プライマリー(引き受け)の世界は昔ながらの状況が変わっていない、ここに風穴を開けたかった。このきっかけは、去年Jパワー(電源開発)が上場しまして、うちのシェアが0.1%しかなかったと、これは過去の地図にのっとって、松井みたいな小さなところは、0.1%あれば十分だろうと思ったんでしょう。発行会社のほうは。ところが蓋を開けてみますと、ブックが数百億、一瞬にしてきたんですね。そうすると倍率が300倍とかですね、400倍とか、宝くじと同じようになってしまって、当然のことながら個人のお客さんは、”何だこれは”と起こりますよね。この状況がJパワーに限らず全てのIPOに起きてるわけです。こういう状況をこのまま放置してよいのかと。何よりもこれは手数料稼ぎと言うのではなくて、むしろお客さんに対して、引き受け玉を増やして、当選確率を上げるというのが、我々の一番やら無くてはならないことだろうと、だったら、引受手数料タダにするからシェアを上げてくれと、発行会社に言って何が悪いのと、個人投資家はその方がいいと。ところがですね、案の上、大反対したのは証券業界ですよ。ブローキングのところでは、ちっこい松井証券が何かやったって何てこと無いだろうとタカをくくってたところがこんな風になっちゃったと、で、今や大和あたりが、真似してですね、何の効果も無いですけどね、まあ、そこまで来ちゃったと。”次は引き受けかよ””絶対許さないぞ”とこういうことで、まあメチャメチャなサボタージュにあってます。でもこれはね、どっかで風穴が開きますから。それは時間の問題だと思ってますし、世の中変わってきているんですから、ぜひ個人投資家の皆さん応援してもらいたい。そうしたら、最低単位でいいからとにかく欲しいんだというお客さんが当選確率バーンと上がって、個人が新しい企業に出資できると。」

−口座数がものすごく増えてますよね。

「そうですね。銀行、りそな方式と言っているんですけど、今までは縛りがありまして、なかなか松井証券と言うことを言えなかった、ところがこれを言えるようになってですね、勧誘と言うとちょっと違うんですけど、松井証券という名称を言えるようになってから、グンと伸び始めて、どんどん提携先が増えていますから、結構大きな力になるんじゃないですか。」

−毎月どれぐらい口座開設が増えているんですか?1万5,6千は増えてますよね。

「そうですね、ただ、他社さんも増えてますけど、手数料が安いところ、イー・トレード、平均手数料で言いますとだいたい5ベーシス、うちが12ですから、最近は11になってるんですけど、半分以下ですよね。デイトレーダーはそっちの方に行く。楽天にいたっては3ベーシスまで落としましたから、そこであーゆう風になったから私は怒ってるんですけど、それはともかくとして、2極分化していると、ただお客さんにとってみれば、手数料は安い方がいいに決まってるんです。手数料が相対的に高い松井証券が何もしなかったらお客さんから見捨てられるのは目に見えているんで、当然ながら差別化することをやらなくてはいけないと当然だと私は思っています。そういう意味で、これだけお客さんが来てもらって、だいたい40から50歳以上がだいたい70%ぐらいですから、こういったお客さんを中心にして、とは言っても若いお客さんを無視しているわけじゃないですからね、こういったお客さんから支持されるような政策をやらないと松井証券はあっという間にお客さんから忘れ去られひじ鉄を喰らわされて、こんな300億の経常利益というのは、幻になっちゃうと。」

−リスナーから質問が来ています。

Q.松井社長こんにちは。取引の額よりも取引の堅実さを優先して松井証券の口座をメインにしてます。しかしです。松井証券の口座で毎日取引すると月間が軽く100万を超えてしまいます。2005年分を合計したらもう1200万支払っています。取引の堅実さを優先すると決めた以上仕方ないのですが、納得がいかないのが10万以下の無料取引している人と月100万払っている人とにサービスに差が無いことです。御社も使えば使うほど特をするサービスを導入してくれませんか。航空会社のマイレージサービスのようなものを期待しています。何も得点が無いとしんどいです。月100万は。

「まさにこのお客さんのいわれるとおりだと思います。松井証券をこういった状況の中で、支持していただけるお客さん、簡単に言ってしまうと上客さんですね。このお客さんに、やっぱり、よりサービスを強化すると、いちげんさんのお客よりも、馴染み客にサービスをすると言うのは商売の原点ですから、当たり前の話ですから、これから意識して徹底的にやります。どういう形でやるかというのこれから追々やっていきますけども、まさにこのお客さんが言われるとおりです、やります。非常に参考になります。」

Q.松井社長、健康に留意して、がんばってください。R証券のシステム障害が発生しました。ネット証券には複数口座を持ち世話になっていますが、サポートセンターの電話のつながりにくい状況、スタッフの対応の迅速・丁寧さでは松井さんが安心です。入出金が郵便貯金対応化というのも助かります。

「今、札幌にコールセンターを作って、アウトソーシングしているんですけど、今100人なのを、300、500人にしようと思っています。プロフィットセンターとして電話の受注をやろうと言っているんではないんです。やっぱりアナログ対応というのは、非常に大切だなぁと。こういうところにやっぱり、投資してですね、お客さんの利便性を高めるということは非常に大切なことだなぁと遅れ馳せながら気がつきまして、これから強化していきます。その結果としてお客さんから支持が増えるということですから、先ほどの上客に対して差別化するというのと同様にこれからアナログ対応の松井証券と、もちろんインターネット前提ですよ。ただ、特定口座と一般口座をどうしたらいいかわからないといったものをですねWEBで説明していますからこれを見てくださいというこういう血の通わない対応はすべきじゃないと、特に上客に対しては徹底的にやっていいんじゃないのと。今までとはちょっと違った考えでやりたいなと思っています。」

「それからシステムは、これは命で、うちは一番経験長いんで、ただバグが絶対無いなんて言えないんでね、ご迷惑掛けることもあるんですけども、しょうがないんじゃないかと開き直ったら、すぐ見捨てられますから。これはイー・トレードも非常にすばらしいシステムを持っています。これからは松井とイー・トレードという、いいシステムのところが選ばれていくというようになると思いますけども、実は松井証券で、楽天証券のマーケットスピードと比較にならないぐらいのツールを開発しました。」

−した?これはすごいですね。ビックニュースですよ。

「初めて言いますけど、今念には念を入れてテストを何回も繰り返しています。いくらいいものがあったって、それでバグが生じたら、これは本末転倒の何物でもないですから。念には念を入れてといっても切りは無いかもしれませんけども、これはマーケットスピードなんて比較になりません。これを原則タダでやります。どういう形でやるかは逐次公表しますけども。もう完成しています。見ていただければ、とんでもないものだということをお分かりになっていただけると思います。しかも、フリー。」

−今、松井さんのツールでも料金かかってますよね。

「そうですね。まあ、その辺をどういうふうにするかとかね、原則ですから。これから逐次公表していきます。松井証券がこのオンラインの世界を作ったんですから、これからも新しいことをやります。他社さんも同じことをしてタダにしたらいかがでしょうか?」

Q.手数料にも定率制を採用してもらえないでしょうか?選択できるとありがたいんですが。

「選択制というのはボックスレートを作る際に、社内で大議論したんですね。やらないと言っているわけではないんですけども、いろいろ理由がありましてですね。昔、メリルリンチが20年か30年前にこう言ったんですね、”あらゆる人にあらゆるサービスを”。私は個の時代にこれに代わる標語は”ある人にあるサービスを”、こういうことだと思っていて、一番最初にご質問されたお客さんの上客に差別化しろと、まさにこれですね。うちを支持してくれるお客さんには徹底的にサービスをすると、こういうスタンスを徹底したいなと、そう思っています。」

Q.今ネットストックを使っています。覚えている限りネットストックの松井証券側の原因によるトラブルはありませんでした。この他社との違いについてどのようなポリシーで運営されているのかお聞きしたいと思います。あとノートラブルなんですが、土日がシステムメンテナンスでとまっています。

「たぶん、稼働率、何らかのトラブルの頻度の統計資料を他社を含めて取っています。今のところ圧倒的に松井証券は他者と比べて低いです。これはこの5年間、最初は確かにお客さんにご迷惑を掛けたことがありましたが、今全く無いとは言いません、ただ統計数字でみますともう圧倒的な差です。これは結構みんなコメントしないんです。まあイー・トレードの子会社の評価会社ありますねゴメスとか等々ね、それは言いますよね絶対に。それを比較すると言うのが公平な評価だと思うんですけど、最近は手数料一本ですから。松井証券は非常に評価が低くて、PERは証券業界、対面証券を含めて業界最低と、このぐらい評価されてないんで、厳粛に受け止めてますけどね。」

Q.取引のある顧客にはツールを無料にできないでしょうか?末永く松井証券を利用したいのでお願いします。

「これは原則的に松井証券のお客さん全てに無料にするつもりなんで、ただお得意さんはまた別の形でやります。」

−名前はついてるんですか?

「ええ、そのうち」

−評判の高い楽天のマーケットスピードを凌駕する・・・

「比較にならないですよ。」

−一方で、ネット証券評議会でネット証券をここまでひっぱってこられたわけですけど、先ほどのシステムの問題ですね、結構熱く語ってましたね。これは一楽天証券を批判したのではないと思ってるんです。1社の問題ではなくて市場全体の問題になってくる。こういうことですよね。

「例えば、評議会の発足時から主張してます夜間取引、これはまさにシステムの問題に絡んだ主張なわけですね。お客さんからのオーダーは朝に集中するわけです。もし夜に開いてたら分散されるわけですね。システムの負荷というのは瞬間風速ですから、そこに合わせなくてはいけない。東証だってシステムを強化するというのは当然なんですけども、そんな程度じゃないでしょと。例えば1日30億株で、バブルよりすごいねと言われてますけど、私は50億株いくと思いますよ。瞬間的に。そうすると50億株を前提にシステムを作らなくてはいけない。できますか?と。もちろん5年後には50億株ぐらい容易いことですよとなるかもしれませんけど、今やらなくてはいけない。そうなってくると夜間取引で分散させると。オーダーをですね。もちろん東証がそれに反対しているわけではないですから。実は対面証券が反対していたんですけど、そんな時期は過ぎたんじゃないですか?こういうことをオンライン評議会で主張しなくてはいけない。いずれにしてもシステムの問題がキーワードなんですよ。したがって楽天の問題、これは楽天証券だけの問題ではないと思うんですけど。あの手数料を打ち出したのは勝手だとは思うんですけどね、その結果あれだけシステムトラブルを起こしてですね、いったい何それ?と、そんな軽い気持ちでビジネスやってるの?、それは我々同士として認めたくないね。私に限らずイー・トレードだってその他のところだって、みんな思ってると思いますよ。それは当然考えてもらいたいと。これは何回も言いますけど、オンライン全体の問題ですよ。これをクリアできなかったら、本当にオンラインの信頼性というのは地に落ちるわけですから。お客さんにとって大変な問題になりますしね。」

−夜間取引というのは、これからどのような行動を取っていくおつもりですか?

「主張しますし、万一こういうことあって欲しくないんですけど、ヘラクレスとかそんなのがどうのこうのというのと、東証がトラブル、ダウンするというのは意味合いが全然違いますからね。もし東証がなって欲しくないですけどそういうふうになったとしたら、これは声を大にして主張します。だからこれに反対しているマネックス、だから私はオンライン評議会に入れないんです。反対してるんですから。反対しているんだから同士でないなと言っているだけの話で、もし賛成してくれるんだったら、立派な会社ですから、それは入れてもいいよと言ってるんで、尚且つマネックスのシステムについてはそんなにトラブル無いですしね、ちゃんと立派なシステムで動いてますから、そういう意味では同士としてちゃんと資格があるんでね、入れてもいいですよと。その代わりそれを蔑ろにした、楽天は場合によっては出しますよということで、これは過程の話ですけどね、そうなって欲しくないですけど」


ストックボイスに出演した松井道夫社長


−いよいよあの野村がインターネット証券に入ってきますね。

「野村とそれ以下のがやるのと全然意味合いが違います。それ以下の大和のハッスルレートという物真似をしても、我々に何の影響も無いです。どうぞご勝手にということなんですけど、やっぱり野村は意味合いが違いますね。野村も大和や日興がやってきたことを見つつ実は野村なりの戦略があってやったと思いますしね。大和や日興と同じことをちょっと時期をずらしてコピーしてやるとは思いません。それほど野村馬鹿じゃないと思います。それなりの考えがあって入ってくるということは当然予想されるので、ある意味では新しい局面にきたなという認識でいます。ただ野村は資本市場をずっと見てて資本市場の大事さを誰よりも知っている存在です。こういった存在がオンラインに入ってくるというのは非常に心強いなと私は思っています。どっかの業界、何も資本市場のことをわからない連中が入ってきてかき回されるよりは資本市場をわかっている人間、セクターが入ってきて競争する方が私はいいと思う。シビアであることは間違いないんでね、活用に努力します。」

そういった意味では、夜間取引じゃあないですけど、オンライン体制が全部そろったんですよね。

「野村どうするんですかね?反対の急先鋒でしたけどね。」

−ネット証券評議会に入りたいと言ったら?

「当然入れますよ。ええ。野村の経営者は私と同年代ですから、今の古賀さんも私よりちょっと先輩ですけど副社長以下だいたい同じ年齢で、非常に資本市場をよくわかっているセクターが入ってきているということですね。」

−会見の帰り際に、野村とのアライアンスもあるということをチョコッと、どこにも書いて無かったですけど・・・

「それは具体的にどうのこうのということではないです。単純なオンラインとオフラインの競争でどっちが勝った負けたとかね。オンライン同士でどっちが負けたとかね。こういう一次方程式なですね、単純図式で物事を考えて欲しくないんですね。もっと地図が全然変わってるんです。例えば野村と松井というのは、野村というのは松井は競争相手だと思ってないと思います。我々も野村と四つに組んで相撲をとろうとは全然思っていないテリトリーが違うんですね。コスト構造が違いますしね。野村は野村で我々が逆立ちしてもできないことをたくさん持っているわけですから、それをやればいいじゃないですか。ということだと思うんですけど、一方でコスト構造を全く無視してこちらに入ってきて戦いを挑んでくるんだったら、コテンパンにやっつけてやるぞと。それは大和を見てみろということですね。成功してるか?と、全く成功してないですよね。数字が物語ってます。そういう意味で野村は数字を十分熟知した上で入ってくるので、どういう戦略を打ち出すかというのはある意味で注目しているということですね。」


大手のネット証券で唯一発注機能付のリアルタイムトレーディングツールを持っていなかった松井証券。それなしで業界をリードしてきたことはすごいが、ついにその松井証券でさえもツールの導入に踏み切ることにしたようだ。しかも原則無料である。さすがに完全無料にしてしまうとサーバへの負担が大きくなってしまうので何らかの条件をつけるとは思うが、預り金の額や電子交付の有無ぐらいであれば、多くの投資家が殺到して人気化するだろう。

このほか番組内では楽天証券のシステム問題、夜間取引の問題、野村のネット証券参入に対する期待の表明など、多くの話題について語っているが、ストックボイスのホームページでその部分の音声が公開されているので聞いてみることをお勧めしたい。

東京株式実況中継!ストックボイス - 株ラジブログ : ネット証券評議会議長、松井道夫松井証券社長生出演記