今日はブログの更新はなしにして休もうと思っていたところだったが、東証でシステム障害が発生して、その影響でネット証券Blogへのアクセスが急増。ということで、ほっとくわけにはいかない。今年は、大証やJASDAQでもシステム障害が多発していたが、東証で起こったシステム障害の影響はそれを大きく上回るものだったといえる。

まず、驚いたのがマスコミの反応。
日経新聞は号外まで出している。PDF1PDF2

また、経済紙や全国紙だけでなく、地方紙までもが地元の経済界の反応を載せていた。

もちろん、ネット証券各社の反応、対応も報道されている。ネット専業証券の記事を抜粋してみた。

松井証券には午前9時半までに約1800件の問い合わせがあった。同社の9月の株取引注文件数は1日平均18万8000件で、大半が東証の上場銘柄。ホームページで注文ができない状況を通知するなど、取引が再開されるまで対応に追われた。


ネット専業証券大手の一つ、楽天証券では午前8時にコールセンターが受け付けを開始した直後から、90台近くある電話回線がすべてふさがり、パンク状態になった。

 同社マーケティング部によると、通常、顧客が同社を通じて東証に売買注文を出すと、パソコン画面には「執行中」の表示が出て、ほぼ瞬時に東証が売買を受け付けたことを示す「執行済み」に移り変わる。しかしこの日、顧客のパソコン画面は「執行中」で固まった。担当者は「ホームページなどでお客さんに事情を知らせるのが大変だ」と困惑した様子で語った。

 マネックス・ビーンズ証券のコールセンターにも午前9時すぎから「いつも見ている画面に入れない」などの問い合わせが相次いだ。同社の広報担当は「自社のシステムトラブルならマニュアルに沿った対応ができたのだが」とあきらめ顔だった。

 株のネット取引は、自宅などで売買できる手軽さと格安の手数料で個人投資家を中心に人気を呼び、今や全株取引の4分の1を占める。こうした動きは、最近の株価上昇の支えになっており、オリックス証券総務部の担当者も「小泉新内閣は市場での評判が良さそうで、今日も活発な取引を期待していた。完全に水を差された形だ」と残念そうに話した。


ネット専業証券のカブコムでは、コールセンターへの問い合わせが「普段の2─3倍に増えている」(斉藤社長)ため、コールセンター機能を増やし、待ち時間が長引かないよう対処した。

 同時に、ホームページでは5分おきに東証のシステムの状況などを更新し、「こまめに情報を配信している」(同)という。

 イー・トレード証券<8701.Q>やマネックス・ビーンズ証券でも、ログイン画面のトップページで東証のシステムが稼動していないことを知らせるなど、顧客への情報配信に努めている。

 カブコムの斉藤正勝社長は、「東京証券取引所は内部管理体制もきちんとしており、設備増強もしてきたので、きょうのシステム障害には驚いている。今回は単なる売買システムのキャパシティが足りないから起きたなどというのが原因ではないのではないか。なぜ起きたのか原因を究明し、きちんと説明責任を果たしてもらいたい」と話している。


ネット証券各社にとっても、東証の取引全面停止は想定外の出来事だったようだ。はたして、ネット専業に限らず証券会社は証券取引所に損害賠償を請求できるのだろうか?

ところで今回のシステム障害の原因となったのが、10月の3連休に、前倒しして行ったというシステム増強。Googleで「東証 障害」で検索すると6位にネット証券Blogが表示されるので、大量のアクセスがあったが、こんな記事を10月に書いていた。

東証が3連休に、株式売買システムの緊急増強を実施。増強計画の一部を前倒し。

この記事で、「年末年始は危ない。2月の東証の増強までは注意」と書いていたが、まさか11月はじめに障害が起こってしまうとは私も思ってはいなかった。さらにシステム障害は、東証の今後の増強計画にも影響がありそうだ。問題となった富士通との損害賠償交渉や対策検討に時間がかかれば、2月にシステム増強を計画どおり行えなくなるかもしれないし、機動的な臨時増強もしにくくなるだろう。

過去に、システムの変更作業によってトラブルが発生して社会問題化した例として、みずほ銀行の統合の例がある。みずほ銀行の場合はトラブル後にシステム統合を遅らることになった。もし今後、東証がシステム増強を遅らせることになって活況も続いたら、今年夏の大証のように自己売買の規制や、信用取引の規制、気配値の制限といった投資家の不利益になるような対策が行われる可能性もあるだろう。それだけは何としても避けて欲しいものだが、今後の東証の対応や、金融庁の指導には注目しなければならない。