松井証券金融庁は、証券取引等監視委員会の行政処分勧告を受け、松井証券に対して証券取引法に基づく業務改善命令を行った。問題になったのは、今年の4月までに社長講演会などで配った会社案内の冊子で、返済期限を設けない「無期限信用取引」について顧客に誤解を生じさせるような表示をしていたことで、金融庁は松井証券に12月2日までに、内部管理体制の強化策などを盛り込んだ報告を提出することを求めた。

当社に対する金融庁の行政処分について

松井証券株式会社 代表取締役社長  松井 道夫

平成17年10月26日付で、証券取引等監視委員会は当社に対する検査結果に基づき、当社における「有価証券の売買その他の取引に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に対し、金融庁長官等に行政処分を求める勧告を行いましたが、これを受け、本日、金融庁は当社に対し以下の行政処分を行いました。



業務改善命令

責任の所在の明確化
広告審査体制を含む内部管理体制の充実・強化
役職員の法令遵守意識の徹底・研修の実施
当社は、コンプライアンスを経営の根幹として取り組んでまいりましたが、今回の行政処分を厳粛かつ真摯に受け止めており、これを契機として、全役職員の法令遵守を一層徹底し、再発防止に努めてまいります。

今後とも引き続きご支援ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。


証券取引等監視委員会が行政処分の勧告をしたのが先月26日だったが、それからわずか8日後に金融庁が松井証券に業務改善命令を出すことになった。さすがに無期限信用取引の新規建て受付停止というような処分にはならなかったが、松井証券は内部管理体制強化策をもりこんだ報告書を提出しなければならない。

松井証券は、「コンプライアンスを経営の根幹として取り組んでまいりました」と言っていて、確かにオンラインの売買監視には力を入れていて、不正売買のチェックをした結果をホームページで公表したりしていたが、顧客への商品説明が法的に問題ないかについてはチェックが十分行われていなかったのかもしれない。

他で扱わない業界で馴染みの無い金融商品であればあるほど、例外処置は多いもので、商品のPRの際は例外の存在についても補足説明を徹底するように気をつけて欲しいものだ。

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