イー・トレード証券イー・トレード証券の29日終値は、前日比45000円高の878000円。時価総額は9082億円になった。一方、ニューヨーク証券取引所に上場するE*TRADE Financialの29日取引終了時点の時価総額は80億ドルで、1ドル118円で計算すると日本円で約9440億円となった。日米両イー・トレード証券の時価総額差は、いよい400億円を切った。
イー・トレード証券の時価総額は、今年夏の時点では、3000億円台だったが、9月以降株価が急騰し、もう1兆円企業も目前に迫っている。一方米国E*TRADE Financialも、半年前から時価総額は倍化しているが、ここ2、3週間の円高により日米イー・トレード証券間の時価総額は急接近してきている。このままだと、逆転することも十分ありうる状況だ。

日本の企業が同業種のアメリカの企業の時価総額を上回るのは珍しいことだが、アメリカで誕生したネット証券の代表企業E*TRADE Financialは、後発の兄弟企業ともいえる日本のイー・トレード証券に方を並ばれている。日米の両者の関係にも影響が出そうだ。

普通の証券会社と違い、ネット証券という特殊な業態に限ってみれば、日本の方が今後の成長に期待が出来ると市場が評価しているのだろう。個人投資家の資金のボリュームを考えるとアメリカの方がはるかに多いはずだが、ネット証券同士の比較だと日本が肩を並べようとしているのである。日本のネット証券業界はアメリカのネット証券業界とは違う発展のしかたをしていると思われる。

かつて、小売業のイトーヨーカドーは、アメリカのサウスランド社から米国発祥のセブンイレブンと提携して、日本にセブンイレブンというCVSを作った。それは、従来のGMS(イトーヨーカドー)を凌駕しただけでなく、本家アメリカのセブンイレブン・インクをTOBするという、日米逆転現象がおきている。

もしかすると、日米のイー・トレードというネット証券は、これと同じ道を歩むかもしれない。SBIの北尾氏は、ネット(イー・トレード)とリアル(SBI証券)の融合を唱えているが、まさにCVSで培ったPOSがGMSに波及した流れと重なる。そして、日本のイー・トレード証券の成長が続いた場合は、アメリトレードとの競争に忙しい米国E*TRADE Financialを逆に支援する立場になるかもしれない。SBIホールディングスは、証券業界のセブン&アイ・ホールディングスになる日も遠くないだろう。