■PTS(私設取引所・夜間取引)の許可が遅れる可能性
12月のライブドア定時株主総会では、PTSの開始が遅れている理由として、堀江社長は、ジェイコム問題で金融庁が忙しいためのようだと回答していました。ライブドアの証券取引法違反の件について金融庁はノーコメントとしていますので、今のところ地検と証券取引等監視委員会の強制捜査には関わっていないようです。しかし、ライブドア証券では堀江社長が取締役に就任しています。今回の疑惑が話題になっている以上は金融庁はPTSの許可を出すとは思えません。無期限に延期される可能性も高いでしょう。
■西京ライブドア銀行の設立も延期?
西京銀行が51%、ライブドアが49%出資で設立予定のネット銀行「西京ライブドア銀行」はライブドア証券とも連携が期待されています。ライブドア株主にとっては2006年1番期待される材料になると見られていました。やはり株主総会では桜の花が咲くころにはと、羽田取締役が発言していましたが、これも金融庁や西京銀行の態度しだいでは少なくとも延期になるかもしれません。
■堀江氏が証取法違反関与なら証券外務員登録取消し・証券役員退任
証券取引法違反の容疑が堀江貴文社長や宮内亮治取締役に及んだ場合は、日本証券業協会はライブドア証券役員である両者の証券外務員登録を取消しにする可能性があります。その場合は役員として残ることはできずに、宮内氏は取締役会長を、堀江氏は取締役を退任することになるでしょう。ちなみに最近では、新潟証券や日本電子証券の代表取締役が証券外務員の登録を取り消される処分を受けています。
■ライブドア証券のイメージ低下で法人向け業務は
同じライブドアブランドを使っているのに加え、証券取引法違反となれば、ライブドア証券のイメージ低下は避けられません。イメージ低下の場合は、リテール向けの業務もそうですが、法人向けの投資銀行業務も影響を受けるでしょう。IPOの引き受けは難しくなります。
■ライブドア株価低迷の場合は売買代金・預り資産が減少に
ライブドア証券で、ライブドアの株式を売買・保有している人は多いです。よってライブドア株の株価低迷で売買代金・株式資産が減少する可能性があります。少なくとも最近半年間のライブドア株の株価上昇による売買代金増加の効果はなくなると思います。
■証券業界・同業他社からの批判
証券業に参入する前も後もライブドアの証券業界同業者からの評判は、第三者的に見てあまりよくはありませんでした。もうすぐ第三四半期決算の発表がありますので、同業の経営者、特に松井証券の松井道夫社長やSBIホールディングスの北尾吉孝CEOなどは、100分割やエフェクター細胞研究所上場の件で過去に「地獄に落ちろですよ」や「資本市場の健全な発展という観点からは許されない行為」と批判してますが、既に捜査されている風説の流布と過去の行為に対して再び非難すると思われます。また主幹事からのIPO販売枠の割り当てにも影響が出るかもしれません。
■風説の流布以外にも問題が出てきたら・・・
今回のライブドアマーケティング(旧バリュークリック)に関する証券取引法違反疑惑は、一説には氷山の一角に過ぎず、強制捜査や事情聴取によって地検は別の問題を解明しようとしているのではないかとも言われています。すでに批判されている100分割やエフェクター細胞IPOの件だけでなくライブドアお得意のM&A関連について捜査が及ぶ可能性もあります。そうすると、投資銀行業務部門を持っているライブドア証券の関わりがどうしても疑われてしまいます。もし問題があれば法人向け業務の停止などの処分となるかもしれませんが、リテール(個人向け)業務が停止するようなことは考えにくいので、ライブドア証券を利用している人が今あわてて株を売ったり出金する必要はないと思います。
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