松井証券松井証券が、四半期決算発表とあわせて、手数料の改定(値下げ)を発表しました。今回のは第一弾ということのようですが、3150円毎に手数料が上がっていっていたのを、1050円に幅を縮小することがメインになっています。イー・トレードや楽天証券の手数料値下げ競争にわれ関せずを貫いてきた松井証券も、シェアが低下していることを素直に反省して、反攻に転じるようです。

手数料の改定について(松井証券)

松井証券は1999年の手数料自由化時に、1日の約定代金300万円、手数料3,000円(税抜)」を基本とした「ボックスレート」と呼ばれる手数料体系を業界で初めて実施しました。その後も先物・オプション取引の手数料をボックスレートに追加し、日計り取引の片道手数料無料化、株式少額投資手数料の無料化などの改定を今まで行ってきましたが、基本である「ボックスレート」に係る変更は行いませんでした。

しかしながら、現在では市場売買代金の3割以上が個人投資家の売買代金となり(※)個人投資家が市場のメインプレイヤーであることや、当社の新規口座開設者の6割が初めて株式投資を行う方となっていることなど、株式市場を取り巻く環境は当時から激変しています。そのため、松井証券では現在のボックスレートをこの時代にふさわしい手数料体系に改定することにいたしました。


つまり、1999年の手数料自由化時に作ったボックスレートの価格設定のターゲット層は対面証券で株式投資をやったことがある人向けだったけれども、最近の口座開設者は株式投資初体験で従来のボックスレートの価格では魅力が感じられなくなってきたということです。今回の手数料改定で、ボックスレートから先物・オプション取引を外すというのも投資の初心者にはあまり重要な内容ではなかったからかもしません。(既存客にもあまり好評でなかったのかも。)

ストックボイスに出演した松井道夫社長が言っていましたが、松井証券は以前はネット株取引で8割のシェアを持っていました。松井証券の手数料体系はボックスレート一本なので、1日定額手数料がネット株取引全体の8割以上を占めていたことになります。しかし、その後他社がシェアを拡大させていくにつれて、その比率は低くなっていきます。おそらく現在では注文毎に手数料をカウントする手数料体系の方が比率は高くなっていると思われます。松井証券は今回の手数料改定では、他社のように注文毎の手数料体系を新設するのではなく、ボックスレートオンリーを維持してその値下げを打ち出してきました。再びボックスレートでシェアを取り戻すという戦略のようです。

松井証券が手数料改定を行う背景には野村ホールディングスのネット専業証券設立の動きも当然あるでしょうが、とりあえずはイー・トレード証券の持つ業界トップのシェアを取り戻すことを目標にしているのだと思われます。

まるすの株投資挑戦記さんが松井証券、楽天証券、イー・トレード証券の3社の1日定額制の手数料の比較を作っているのでこれを見ると、1日いくらならどの証券会社が安いのかがわかります。

こうなると、片道メインの取引ではE*トレード証券 が、往復では松井証券 の方が安いですね。どちらを選ぶか、ということになると、自分の取引スタイルの中で、日計りが多いかどうか、を検討して、ということになるのでしょうか。


確かに、日計りの片道分手数料が無料になる松井証券を選ぶか、そうでない場合はイー・トレード証券という見方もあるでしょう。

両者で信用取引をしたことがある私の感覚から言うと、イー・トレード証券の1日定額制では信用取引と現物取引の約定代金は別に計算されるため、両方取引する場合は、松井証券(楽天証券も)の方が安くなる場合があります。信用だけとか、現物だけと言う場合は、イー・トレード証券でもいいでしょう。

しかし、両方やると言う人は、イー・トレード証券にはない担保同意書の電子回答ができるという利点がある分だけ松井証券の方がよさそうです。

イー・トレード証券は今のところ松井証券の手数料値下げには対抗する動きを見せていません。もちろん、一度楽天証券に梯子をはずされていますから様子を見るのは当然かもしれません。しかし、イートレード証券が現在のままだとすると少なくとも信用取引の売買代金のシェアでは松井証券がイー・トレード証券のシェアに追いつく可能性が高いと思います。

(とは言っても、イー・トレードにとっても松井証券にとってもシステムの安定稼動が大前提になります。楽天みたいにはならないとは思いますが。)