ジョインベスト証券遅れましたが、ジョインベスト証券の説明会の音声配信を聞いてみました。ジョインベスト証券は、野村ホールディングスの設立するネット専業証券で、野村総合研究所の元執行役員で野村ホールディングス顧問の福井正樹氏が就任しています。説明会で福井社長は業界最低水準をめざして最終調整中で「来年の3月に50万口座の獲得を目指したい」と高いレベルの目標を掲げました。ジョインベスト証券は、5月14日にjoinvest.jpでサイトをオープンし、口座開設申込み開始。5月28日から注文受付開始するそうです。

野村証券グループ | ジョインベスト証券、商号変更ならびに開業スケジュール等を発表
ジョインベスト証券株式会社 会社案内(PDF 607KB)
ジョインベスト証券株式会社「開業についての説明会」資料(PDF 278KB)

ジョインベスト証券株式会社「開業についての説明会」音声配信(福井正樹社長)

さっそくでございますが、開業に関する説明をさせていただきたいと思います。冒頭ジョインベスト証券の目指す方向性を含め会社の概要を説明した後、実際の商品・サービスに関するビジネス展開について説明させていただきたいと思います。最後にインターネットビジネスの展開ということで、将来に向けた施策についてもあわせてご紹介させていただきたいかと思います。

それでは、ジョインベスト証券が目指す方向性すなわち会社のミッションについてご報告申し上げたいと思います。我々は、オープン、フリー、エンジョイを合言葉に自由な発想の元、金融機関としてはじめて、本格的なインターネットビジネスに挑戦していきます。すなわちインターネットという開かれた広場に自由にお客様が参加していただき喜びを味わっていただくことが我々の使命でございます。ジョインベスト証券は、この第一歩として、金融分野をビジネスのコアとし、投資の経験のない方から、投資のエキスパートの方まであらゆる投資ニーズに、あらゆるライフステージに対応して多彩な商品・サービスを展開して参ります。

簡単に会社の概要をご説明いたします。本年3月15日に、証券業の登録を完了いたしました。商号、ジョインベスト証券株式会社。資本金64億円で、野村ホールディングス株式会社の100%子会社でございます。この64億円というかなり手厚い資本の元で発注能力の高い安定的な取引とあわせて顧客情報の管理・保護を中心とした安全なセキュリティをも兼ね備えたIT基盤を構築しお客様に提供していきたいというふうに考えております。

さて、このジョインベストという聞きなれない社名でございますけども、この社名の由来についてご紹介したいと思います。我々ジョインベスト証券はお客様が投資に参加し、そこで喜びを感じていただく、すなわち充実感であるとか、満足感を得られる機会を提供することがミッションでございます。このミッションを的確に表現するために楽しむjoy、さらには参加するjoin、と投資するinvestを繋げて、ジョインベストという風に名付けました。なかなか初めは表現がしにくいようでありまして、我々の社員の中でも最初は間違えて発音・発言される方もいらっしゃいました。本日この後、質問の時間を設けておりますけども、質問の前に社名を言っていただいて、間違えられた方は残念ながら質問できない、こういうルールにさせていただきたいと思います。

で、冗談はさておき。次にジョインベスト証券の商品・サービスに関するビジネス展開についてご案内したいと思います。

具体的な内容に入る前に、我々が置かれているビジネス環境について少し申し上げたいと思います。丁度1998年に松井証券がインターネット取引を開始し昨年で7年を向かえ、個人投資家の存在感が株式市場の中で大きく、非常に大きくなったということと、もう一つはマーケットの流動性フローが個人投資家によって拡大されたということでございます。ここに2003年から2005年まで直近2年間の株式の委託分でございますが株式の売買状況を示しております。2003年個人の売買高は約86兆円、全体の3割でございましたが、2005年になりますとこの86兆円がなんと3倍強270兆円全体でも4割を占める存在になっています。さらに270兆円のうち約6割がネット証券大手5社の売買からもたらされたものでございます。昨年までの間にインターネットというツールを使った取引によってこのマーケットの流動性の拡大に大きく寄与したというように考えられます。ところが今年に入りましてこの動きに変化が見られています。みなさま今年の1月2月の2ヶ月間でネット証券大手5社に新規に口座を開設したお客様はいくついらっしゃるかご存知でしょうか?実は49万口座が新規にネット証券大手5社で開設されております。11月末時点で5社合計267万口座でございますから、約5分の1がたった2ヶ月の間で増大したということでございます。この49万口座のうち今まで投資に関心のなかった方、関心があったけれども投資を始めてなかった方がかなりの数含まれているというふうに言われています。したがいまして、今年に入って今まで流動性というフローに貢献していたインターネット取引は新たにストックいわゆる資産形成、もう少し別の言葉で置き換えますと安定的な株主を構成するような貢献を果たしはじめたいうふうに理解をしております。まさに我々ジョインベスト証券が出て行く絶好のチャンスが訪れたというふうに思っております。したがいましてジョインベスト証券にご参加いただきたいお客様は従来からインターネットで取引をされ市場の流動性フローに貢献を果たしてきたお客様に加えて、今後潜在的には1000万程度と推測される、これからストックすなわち安定株主になっていただくようなお客様を広くお迎えしたいというふうに思っています。我々お客様参加型というコンセプトの元でどんどんサービスを拡充していきたいと思います。お客様のあらゆる投資ニーズあらゆるリテラシーに対応しお客様が本当に欲する商品・サービスを簡単に得ることのできるようなサービスの展開をしたいというふうに思っています。結果資本市場そのもの、株式市場そのものの、その拡大に貢献していきたいと思っております。

この絶好の機会をとらえ本年5月14日ジョインベスト証券の店舗であるサイトをオープンいたします。同時に口座開設の申込みをスタートさせます。さらに2週間後の5月28日取引の注文の受付を開始しいよいよ本格的に投資をしていただくという運びでございます。

それでは、開業当初の具体的なサービスについてご紹介したいと思います。まず、取扱商品でございますが、開業時は国内株式に特化いたします。あの野村が株式しかやらないの?と意外に思われる方が少なくないのではないかと思っておりますが、先ほどビジネス環境のところで申し上げたように、今本当に多くの個人のお客様が株式市場に期待し熱い視線を送っております。今まさに株式をご提供することが、お客様に対する最高のサービスになると確信しております。

この国内株式に対する取引手数料でございます。この手数料につきましても内外とも非常に期待感を感じておるわけでございますが、現在業界最低水準の手数料をめざし最終調整をしております我々がご提供するサービスに相応しい手数料の水準を模索し、最終的にはサイトのオープン前に発表させていただきます。

さらに我々の店舗となるWebサイトですが、投資の未経験の方にも、あるいは投資のエキスパートの方にもわかりやすく簡単でシンプルな画面構成をご用意させていただきました。あわせて、発注処理においても十分な処理能力を確保いたしております。

さらに、向こう1年間のサービスの展開予定についてご説明申し上げます。展開については大きく3つの方向性があります。一つは国内株式の取引における機能の充実、2点目に扱う商品の拡大、3点目にお客様の利便性あるいは効率性を追求するためのサービスの拡充の視点、この3点でございます。

国内株式の機能における拡充につきましては、さまざまな注文執行機能の充実に加え、昨今利用が20%と言われているモバイルによる発注機能も早い時期にご提供したいという風に思っています。さらに売買が活発なエキスパートの方のために、新しいトレーディングツールもご提供したいと思っています。

商品についてでございますが。本年内に外国株式、投資信託といった商品の拡充を考えておりまして、お客様のニーズに従って順次ご提供申し上げたいというふうに思っています。

最後に、利便性のためのサービスでございますが、まず外部のネットバンキングとの連携によるシームレスな資金移動を実現するとともに安心してお客様に取引してもらうためにIT基盤の増強を今年中に終えるつもりでございます。

このようなサービス展開を行ったうえで、我々の経営目標でございますが、来年の3月に50万口座の獲得を目指したいと思います。この50万という数字でございますけども、ようやく他大手ネット証券の方々と肩を並べることができる最低限の水準ということと、我々本格的にインターネットビジネスに進出していくための最低限のお客様の数という風に思っています。さらに経営基盤をきちっと固めるという意味で2年後の3月末に黒字転換を図りたいというふうに思っております。

我々新規の会社でしかも後発でございますから黒字か3年というのが一般的かもしれませんけども、いち早く本格的なインターネット・ビジネスに参入したいという思いでこの比較的目標の高いレベルを設定いたしました。

最後にインターネットビジネスへの本格展開についてご報告いたしたいと思います。先ほどインターネットの株の取引で新しい時代が訪れたというふうに申しました。もう少し広く個人に対するインターネットビジネスを考えて見ますと流通の効率化、あるいは在庫の削減、等々によって低価格の商品をお客様にご提供する、さらには徹底した商品比較の情報をお客様に提供して、この2つの訴求効果で個人に対するインターネットビジネスは広がってまいりました。これに加えて、昨年から少し変化が見られてきています。いわゆる掲示板あるいはブログといったものが普及し始めて個人と個人、あるいは個人と企業が積極的に情報を交換し始めています。さらにはこの交換された情報を活用して新しいビジネスを提供している企業も現れてまいりました。まさに個人のインターネットビジネスも第二幕をあけたというふうに思っています。この第二幕では情報と情報のマッチングしたところから新しい価値ビジネスが創造されるというふうに我々は確信しております。ジョインベスト証券は投資というサービスをお客様に提供するところから始めるわけでございますから、さらにこの投資・金融といったもの生活に身近に感じていただくために、お金の有効活用というテーマでコミュニティ・サイトを運営したいと思っております。この中でお客様がお客様どおしで情報を交換し、あるいはお客様と企業が情報を発信する中で新しいニーズが生まれ、それに対して我々は積極的にサービスを展開していきたいというふうに思っております。この8千万人といわれるインターネットを利用する方々がこのお金の有効活用というコミュニティサイトに自由に参加していただきそこから生まれたニーズにお答えするというのが我々の使命でございまして、ジョインベスト証券は、この投資というニーズにお答えするものであります。この中から銀行というニーズも生まれてくるかもしれません。あるいはもっと幅広く多様なニーズが出てくる可能性があるわけで、これに対してどのようにサービスを展開するかというのが今後の課題というように思っています。

ジョインベスト証券は、やっと産声を上げたばかりでございます。しかしながら、この開業の精神を常に持ち続けて、金融機関として初めて本格的なインターネットビジネスの可能性に挑戦していきたいと思っております。御静聴ありがとうございました。

24日のテレビ東京WBSでも短いニュースがありました。

ジョインベスト証券福井社長何故か松井証券のページが。


今回のジョインベスト証券の発表で重要なのは、以下の3点ですね。
 ・フローだけでなく、ストック。安定株主を迎えたい。そのチャンスが来た
 ・業界最低水準の手数料で来年3月末に50万口座
 ・お金の有効活用というテーマでコミュニティ・サイトを運営したい

どれも漠然としたことだけで、具体的な内容はベールに隠されたままで、マスコミも50万口座獲得という数字に懐疑的のようです。来年3月末に50万口座を達成できるかどうかについては検証が必要でしょう。野村流のノルマ作戦とも思えません。

ジョインベスト証券が本当にすごいのかどうかは別にしても既存のネット証券大手にとってはやっかいな相手であることには間違いないでしょう。ライブドア証券の新規参入時に比べると遥かに大きな影響がありそうです。しかし、個人投資家にとっては競争が活発になって手数料が安くなったり、サービスが良くなるのはいいことです。5月からオープンのジョインベスト証券にも期待しましょう。

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