呼値変更[ ネット証券Blog ] 
来年(2014年)1月14日からTOPIX100構成銘柄の呼値(よびね)が変わります。この変更の内容と影響について考えてみたいと思います。
まず、呼値とはなんなのか?

■ SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集 呼値 (よびね) http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/yo/J0062.html

呼値とは、売買する際の価格の刻み幅のことです。株式の場合、1株当たりの株価によって刻み幅が異なります。
具体的には、株価が3,000円超〜5,000円以下の場合は5円単位、3万円超〜5万円以下の場合は50円単位と決められています。
例えば、株価が3,500円であれば、売買は3,505円、3,510円・・・といった株価の単位となり、3,501円といった、5円刻み以外の価格では購入できません。

今回、東証はこの呼値(刻み幅)を、流動性の高いTOPIX100銘柄のみ変更(縮小)することにしたというわけです。

■ 取引所と証券会社の対応

東証の呼値の変更は3つのフェーズに分けて段階的に行われることが公表されています。

東証の呼値変更の概要

フェーズ 施行日 呼値の変更内容 対象銘柄
2014年1月14日
※三連休の翌日
(予定)
・新たな呼値の適用開始

・1株の値段が3,000 円を超える場合の単位が変更される(3,000円以下の場合は現行の呼値の単位と同様)

※小数点呼値の導入は無く、株価は整数値のまま。
TOPIX100構成銘柄
2014年7月22日
※三連休の翌日
(予定)
・フェーズ気慮特佑慮直しに加え、呼値の単位が縮小される

・1株の値段が5,000円以下の場合に、10銭(0.1円)単位が適用される(5,000円を超える場合はフェーズ気慮特佑涼碓未汎瑛諭

※1円未満(小数点)の呼値の導入が開始され、株価に小数値が適用されます。
流動性の高い銘柄群
(原則TOPIX100構成銘柄)
2015年央 ・フェーズ亀擇咼侫А璽梱兇砲ける影響を踏まえた包括的な呼値の変更
※詳細については未公表
流動性の高い銘柄群
(原則TOPIX100構成銘柄)


7月の3連休ではさらに5000円以下のTOPIX100構成銘柄は、呼値が縮小されて1円未満の10銭(0.1円)となるそうです。

■ 変更後の呼値

1月14日からの1株の値段による呼値は、以下のとおりとなります。左が旧、右が新ということになります。

2014年1月14日(火)以降のTOPIX100構成銘柄の呼値単位

1株の値段 呼値の単位
TOPIX100以外
(従来どおりの呼値)
TOPIX100
(変更後)
〜1,000円以下 1円 1円
1,000円超〜3,000円以下 1円 1円
3,000円超〜5,000円以下 5円 1円
5,000円超〜10,000円以下 10円 1円
10,000円超〜30,000円以下 10円 5円
30,000円超〜50,000円以下 50円 5円
50,000円超〜100,000円以下 100円 10円
100,000円超〜300,000円以下 100円 50円
300,000円超〜500,000円以下 500円 50円
500,000円超〜1,000,000円以下 1,000円 100円
1,000,000円超〜3,000,000円以下 1,000円 500円
3,000,000円超〜5,000,000円以下 5,000円 500円
5,000,000円超〜10,000,000円以下 10,000円 1,000円
10,000,000円超〜30,000,000円以下 10,000円 5,000円
30,000,000円超〜50,000,000円以下 50,000円 5,000円
50,000,000円超〜 100,000円 10,000円


■ <影響> システム的にどうなのか?

今回の変更で呼値が、TOPIX100それ以外で、2種類のパターンが出てくるわけですが、仕組み的には東証のシステムから証券会社のシステムに、各銘柄に適用される呼値のパターンの番号が配信されて、それを受信した証券会社のシステムで区別して、それぞれの呼値で取引できるようになるそうです。ですから、システム的な区別はTOPIX100かどうかではないわけですね。

おそらく、東証と証券会社はこの変更が発表された2013年5月以降に、呼値を変更した場合を想定したテストを繰り返し行っていると思いますので、余程のミスをしなければ、システム障害は起こらないと思います。(というか信じてます)
切替は、毎度のことですが三連休を使うようですし。もちろん、取扱量の大小に関わらず、どの証券会社でも対応しなければならない変更ですので、小さな証券会社、独自なシステムを運用している証券会社には負担は大きいですね。

あと、TOPIX100の構成銘柄が変更された際は、ちょっと注意が必要かもしれません。変更し忘れて、「あれ!?」ということがない様にしてほしいですね。

■ <影響>個人投資家の売買への影響は?

はっきり言って個人投資家には、デメリットの大きい変更だと思います。

東証的には、建前上、値段の選択肢が増えるというのがメリットということになっています。

しかし、現在の上下8本ずつの気配値で見れていた情報が、実質的に10分の1に縮小されます。注文は薄く広く散らばるのに、今までどおりのレンジ(幅)でしか見れなくなるわけですから、デイトレーダーにとっては死活問題、中長期の投資家にとっても売買のタイミングはかるのが難しくなるのではないでしょうか。

また、この変更で恩恵をうけるのがアルゴリズム取引を行う大口投資家であることも、個人投資家にとって、デメリットだと思います。細かい呼値でも大量の資金によるアルゴリズム取引であれば利益になります。ちょっとでも安い(高い)値段で買いたいのに、アルゴリズム取引に先に買われて(売られて)しまったということが増えるような気がします。アルゴリズム取引のシステムは東証のデータセンター内にスペースを借りて置かれているので、細かい呼値の注文情報を読み取って高速に売買することが可能です。従来の呼値であれば、1つの値段に大量の注文があったので、個人投資家でも遅れずに買う(売る)ことができたので、比較的フェアだったのですが、それがアンフェアになるわけです。

しかし、これは決まったことで後戻りはできません。これまでの日本の呼値は世界の他の市場に比べると大きかったらしく、世界の取引所との競争に東証が負けないためには、縮小してアルゴリズム取引などによる大口投資家からの手数料収入を増やす必要がある、まさに世界の取引所の潮流なのかもしれません。

個人投資家にとっては、いいことではないのですが、もう決まっていることなので、とりあえず変更後の株価の動きがどうなるのかを分析し、対策を練っていくしかないでしょう。