8月31日に楽天証券が、社員がWikipediaの記事を削除したことを公表して謝罪しました。楽天本体が、週刊誌の記事に対して撤回と謝罪をと求めるという騒動の中、それとは別にWikipediaの問題については誠実な対応をしてくれたと思います
弊社に関する一部報道について(楽天証券) このブログでWikipediaの記事削除を指摘したのは8月26日だったわけですが、騒動になったきっかけになったのがYahoo!トピックスに掲載されたときでした。掲載時刻が14時53分で、ちょうど楽天の株価がストップ安になった後だったこともあってか、Yahoo!から大量のアクセスが15時〜18時がやってきました。 14時までは、500〜1,500PV/1hで推移していたのが、  ・15時台 52,054PV  ・16時台 43,637PV  ・17時台 40,623PV  ・18時台 16,613PV と、4時間で152,927万PVを記録することになりました。

まるで大津波。
ネット証券Blog(1)で1番アクセスが多かった「村上ファンドの村上世彰氏「"のほほん"としている経営者はクズ」」でさえ、2005年3月12日から2005年12月29日までの間で43,760PVだったので、それと比較しても、遥かに上をいくアクセス数を集めていたことがわかります。 また、この大量のアクセスのために、このブログが一時的に表示できなくなる状況になったようです。当初はYahoo!トピックス自体が表示されなかったり、テクノバーンや、Wikipedia全体が重くなっていたそうです。 ネット証券Blog2では、さくらインターネットのレンタルサーバを使用していますが、ネット証券Blog(1)のlivedoorBlogのままだったら、もっと表示できない時間が長くなっていた可能性があったので、サーバを移しておいてよかったと言えます。 その後、朝日新聞やフジテレビに報道されたこともありますが、楽天証券が謝罪し再発防止に取り組むとコメントするという結末になったことは、正直なところよかったと思います。 楽天証券のコメントを読んで、一社員の不適切な行為ではなく、楽天が組織的にネット上で工作活動を行っていたのではないかという意見もあるようですが、組織的に行っていたとするならば、ネット証券Blogの過去のシステム障害に関する記事を削除するように要請してきたはずで、それがないことや、楽天証券の国重社長が業務改善命令以降、セミナーや株主総会で、謝罪を何度も繰り返していたことを考えると、組織的な工作活動をやっていたということはなかったのではないかと思います。 では、今回、楽天証券の社員がWikipediaから不都合な記事を削除したことの何が問題なのかというと、ネット上の情報を操作したとか、議論もせずに事実を消したとか、企業の姿勢として問題とか、ネット企業なのにリテラシーの不足しているとかが言われていますが、最も問題なのは、この記述の削除という行為が、自己(自社)の立場でしか物事を考えていたとしか思えない、ということです。自己中心的な考え方ではなく、もし顧客や投資家の視点で考えたならば、業務改善命令という事実は楽天証券にとって重要な出来事で、Wikipediaにその事があっても消すという行為は思い浮かばないはずです。楽天証券の社員であっても、本来なら顧客の立場に立ったり、ネット投資家の空気を読んで、事実として記載を認めなくてはならないと思います。 よくWeb2.0の例として、Wikipediaが出されますが、Wikipediaの楽天証券の項目は、普通の百科事典だったら項目にならないでしょうし、執筆者は自己満足で書いているとしか思えないし、1ヶ月に見る人は数人しかいない、まさにロングテールのテールの部分にあたると思います。今回の騒動は、恐竜の尻尾を踏んだら、恐竜が目を覚まして、それに襲われた、ということでしょう。 Wikipediaを見て証券会社選びをする人はまずいないでしょうから、こんなのは無視すればよかったはずです。もし記事の中立性にこだわるのであれば、顧客に謝罪を繰り返した事実やシステム増強を行った事実を追記して、中立性を取り戻せばいいのです。もちろん、地道に本業をがんばって、品質を上げて、評価を高めるのが一番ですが。 【関連記事】 楽天証券の中の人がWikipediaから業務改善命令とマーケットスピードの欠点を削除。