大阪証券取引所が日経平均先物(日経225先物)、ミニ日経平均先物(日経225ミニ)、日経平均オプション(日経225オプション)の取引時間を数時間延長することを検討しているという報道があった。ただし、大証は決定事項ではないとのプレスリリース(PDF)を出している。
一部の経済ニュースによると、大証幹部の
「経済活動が遅い時間まで続いているのに、証券取引所だけは動いていない。投資家のニーズに対応する必要がある」
というコメントを紹介し、現在の9:00〜15:10の取引時間に加えて、16:00〜19:00(または20:00)の時間帯を加える案が浮上していると報じている。取引時間延長によって、個人投資家や国内、ヨーロッパの機関投資家の取引量増加を狙っているようだ。 大阪証券取引所は、2001年にシドニー先物取引所、2004年に上海証券取引所と深セン証券取引所(どちらも既に東証とも提携)、2005年にヨーロッパ最大の金融先物取引所ユーレックス、2006年に台湾先物取引所と提携している。指数先物などの相互上場を目指す提携が多いが、特にユーレックスとは大証の取引時間外にユーレックスで注文を受付け、大証で決済を行う方法を模索し金融庁などと協議を続けているとの報道が昨年秋頃にも出てきていた。 金融庁の「証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会」が2006年9月13日にまとた「わが国証券取引所をめぐる将来ビジョン」の中では、「時差等を利用した国際的な取引所間連携によって、グローバルな取引を取り込めるようにする試みは注目に値する」との評価を盛り込んでいることから、ユーレックス等の海外市場との提携による取引時間延長は容認されるとの見方がある。 日経225先物は、シンガポール証券取引所(SGX)に1986年、大証に1988年に上場。2004年にSGXが高速な売買システムを導入した影響で、大証の取引高シェアは80%前後から徐々に低下。システム障害が発生した2006年2月には70%にまで落ち込んだが、直後に大証が新システムを導入し注文の受付スピードを従来の数秒から0.1秒に短縮した効果により現在では75%以上に戻していて、さらに年度内に処理速度を倍にするという話もある。 また、夜間取引市場を共同設立を計画するSBI・イー・トレード証券、楽天証券、SBI証券、オリックス証券、GMOインターネット証券などの証券会社の連合が大証に協力を要請し、大証が前向きに検討しているとの報道が以前にもあったが、今回も先物取引の取引時間延長に加えて、将来はヘラクレス市場など現物株取引にも夕方の時間帯の取引を導入したいという報道も出ている。 いずれにしても、証券会社側のシステムの対応など障害も多いが、実現すれば個人投資家にとっては投資機会が広がり、東証やネット証券独自のPTSの運営にも影響を与えるかもしれない。