ジョインベスト証券が、300億円の増資と、3月1日からの手数料改定を発表している。増資の方は、野村HDの引受けによる資金調達でシステムの増資が目的という内容。手数料改定の方は、2つのプランの低価格帯の手数料値下げと、「そのつどプラン」の上限手数料の設定(1500円)という内容になっている。
2007 年2 月5 日 関係各位 ジョインベスト証券株式会社 ジョインベスト証券、野村ホールディングスによる300 億円の新株引受の払込完了を発表 ジョインベスト証券株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:福井正樹)は、2007年2 月5 日(月)付で野村ホールディングス株式会社(執行役社長兼CEO:古賀信行)による300 億円の新株引受の払い込みが完了したと発表した。同社では今後も積極的にサービスを追加し口座獲得を図っていく。そのためのシステム投資や口座数増加に伴うシステム基盤の増強を主な目的として、野村ホールディングス株式会社の総額引受による300 億円の資本増強を行った。これにより、同社の資本金の額は214 億円※1 となる。 ※1 増資した300 億円は資本金と資本準備金にそれぞれ150 億円ずつ組み入れる。(増資前の資本金の額は64 億円) 以上
3月1日からはじまる新しいサービス (ジョインベスト証券) ジョインベスト証券の発表によると、300億円の増資の目的は、システム投資や口座数増加によるシステム基盤の増強となっているが、これは業界最低水準の手数料を継続することで、今後急激に口座数が増加する可能性があるためだろう。1月度の開示情報によるとジョインベスト証券は、7ヶ月ぶりに月間口座増加数が1万を超えて、SBIイー・トレード証券に次ぐ増加数業界2位に浮上している。 まだ、ジョインベスト証券の口座数はまだ10万に満たないが、大手のネット証券はいずれも約15万口座から口座増加スピードが急上昇しはじめて、そこから40万口座ぐらいまでの間に、システムのキャパシティ不足に起因する障害、遅延が多かったと思う。ジョインベスト証券にとっても、ここから1年~2年ぐらいが一つの正念場になるかもしれない。 口座数の「伸び率」が大きい時はシステム投資をケチると痛い目にあう一方で、相場が先細りすると利益率が急低下する、舵取りの難しい局面だ。しかし、パイオニアのネット証券が貯蓄から投資、対面からネットへの潮流を信じていながらも、どこかで成長が鈍るのではないかという不安を頭の片隅に入れながら経営していたのに対して、ジョインベスト証券の場合は遅くとも2,3年後には50万口座には行くだろうという前提で予算を組むことができる。(後出しじゃんけんと言えばそれまでだが。) おそらく300億円の増資はジョインベスト証券にとって開業当初からの規定路線だったのだろう。 個人投資家としては、手数料値下げ競争がさらに激しくなることは大歓迎だ。しかし、よく考えてみると野村証券の対面取引の顧客が払う高い手数料を源泉とする利益が、巡りめぐってジョンベスト証券の赤字覚悟の経営につぎ込まれ、ネットを使う投資家は口座を開くだけで5000円を受け取ることができるという奇妙な状況だ。野村ホールディングスは、ジョインベスト証券の利益度外視の経営をどこまで継続させるつもりなのだろうか。