3ef7bc09.jpg日経ビジネス(2004.8.23号)の特集「進化するCS経営顧客の声が会社を変える」で、カブドットコムのコールセンターがホテルサービス型として紹介されています。トラブルの回数が多いことから顧客からのクレームも耐えないとのイメージがありますが、それでも業績が伸びているの要因は、コールセンター部隊の顧客対応にあるようです。
ホテルサービス型
カブドットコム証券
売りは株よりスタッフの質

カブドットコム証券の斉藤正勝社長は社長室を持たない。部屋ばかりか、社内には自分の席させえない。常にノートパソコンをかたてにオフィスを歩き回り・・・時にはコールセンターのスタッフ同様、インターコムをつけて、隣のスタッフと顧客の会話をモニターする。

「われわれが売っているのは株じゃあないんです。コールセンタースタッフの対応そのものが売り物なんです。」

「株はどこで買っても同じでしょう。そこに付加価値はない。当社が顧客に提供する付加価値はまさにコールセンターの質なんですよ。」

同社の14万人の顧客がコールセンターに電話してくる回数は単純平均で1人あたり、年間0.4回。そのわずかな機会に自らの付加価値を示すことができれば、それは顧客のつなぎとめになる。逆に対応が悪ければ、すぐさまライバル他社に乗り換えられてしまう。

カブドットコムは、顧客を取引実績に応じて点数をつけデータベース化、重要顧客からの電話は優先的につながる仕組みを導入した。ひと月に1度の頻度で実施する見直しで、点数が下がる顧客も出てくる。その場合、メールを送ったり、時には直接電話したりして何か不満がないか調査する。そうすることで遠まわしながら、同社が顧客を重視しえている姿勢を示せるというわけだ。

つながらなかった顧客でも着信履歴が残るようにして着信番号から顧客名を割り出し、コールセンターから連絡するといった仕組みも2年前から導入している。

昨年、カブドットコムは日本オフィスオートメーション協会が主催するコンテストで、「ベスト・コールセンター・オブ・ザ・イヤー」に選らばれた。同社の応接室には、外部団体が主催する各種コンテストで受賞した表彰状が数多く並べられている。社内では発声練習、敬語研修といった日々の訓練のほか、年2回、社員を対象に電話応対コンテストを実施。そこで上位3人に選ばれたスタッフが外部団体主催のコンテストに出る仕組みまである。

年2回、調査会社に依頼して、他者のコールセンターの対応ぶりの調査までする。

「そこまでやるか、と言われそうですが、ホテル業界では当たり前のようにやっていることですよ。」と斉藤社長は笑いながら言う。

気がつけば、2004年3月期、営業収益は前の期の2倍超、経常利益は14倍に達した。