日本経済新聞9月25日朝刊によると分割予定銘柄の値下がりが目立つそうです。(経済オンチ、日経を読むより)

実はその原因は、イートレードの無期限信用取引サービスにあると私は考えています。
イートレードの無期限信用取引は、株式分割が行なわれると、返済期日が設定されてしまい、その期日までに返済をしなければならなくなります。無期限なので長期で持とうとしていた銘柄も、無期限ではなくなるので、返済せざるを得ません。つまり、株式分割を発表後から、設定された期日までの間に、無期限信用で買建されていた分だけの売り圧力が強制的に生じてしまうわけです。

ちなみに、無期限信用取引とは一般信用取引の一種です。
 ・制度信用・・・証券金融会社の融資
 ・一般信用・・・証券会社自身の融資
制度信用は株式分割に対応しています。(新株分は処分されちゃいますが)

ところで、無期限信用取引サービスを2003年7月28日に業界で初めて開始したのは、松井証券です。松井証券の無期限信用取引は、一部例外はありますが、原則として株式分割に対応することができるので、分割後も保有し続けることができます。松井のホームページには「権利処理に関する特許出願中です。」と書いてあります。この権利処理の業務で工夫をしているようです。さすがは、株に注力している松井証券。

無期限信用取引が松井証券だけだった2004年3月までは、株式分割発表銘柄が値下がりすることは多くありませんでした。ところが、松井証券の無期限信用取引の成功を見たほかの証券会社も無期限信用取引を扱い始めます。松井証券に匹敵する信用取引口座数を持つイートレード証券も4月から無期限信用取引をスタートしました。しかし、イートレード証券は、権利処理ができないためか、株式分割発表銘柄には期日を設定しました。これが5月以降の新興市場の銘柄の下落の一因になったかもしれません。株式分割神話は崩壊します。

株式分割発表後に値下がりしやすい順に書くと、

1.制度信用に選定されてない銘柄
 (例:ほとんどの新興銘柄、上場直後の銘柄など)
2.制度信用に選定されている銘柄
 (例:ライブドア、カカクコムなど)
3.制度信用(貸借銘柄)に選定されている銘柄
 (例:楽天、べりサイン、東証1・2部銘柄など)
4.名証セントレックス市場銘柄
 (例:エイペックス、あまり例が無い)

となります。

1.制度信用に選定されない銘柄は、新興市場の銘柄や上場直後の銘柄なのですが、投資家は無期限信用で買わざるを得ないので、信用買残は全て売り圧力になります。

4.名証セントレックス市場銘柄は、イートレードが信用取引の取扱いをしていないので、影響がありません。

最近ニュースでありましたが、大和證券も無期限信用取引を始めるそうなので、今後さらに売り圧力は大きくなるのではないでしょうか。持ち株が株式分割を発表したら、気をつけたほうがいいです。