日経ビジネス20041115「敗軍の将」堀江社長・・・そして日経ビジネスの取材。なんと「敗軍の将、兵を語る」に出してもらえるらしい。日経ビジネスで一番読まれるコーナーだ。まさかこんな形で載ることになるとわ・・・。(社長日記より)

ジャパネット高田の高田社長や、プロ野球機構の根来コミッショナーも出た、日経ビジネスの人気コーナー「敗軍の将、兵を語る」に、我らがライブドア堀江貴文社長も登場です。とりあえず、最初の3分の1をご紹介。
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敗軍の将、兵を語る
堀江 貴文氏 [ライブドア社長兼最高経営責任者]

”読売クラブ”にやられた

6月に近鉄球団の買取を表明したが、オリックス球団との合併でかなわず、
新規参入を目指すも11月2日のオーナ会議で落選、楽天が選ばれる。
「プロ野球は俺様ルールの読売クラブ。何も変わらない」のが実感と語る。

堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)氏1972年10月福岡県生まれ、32歳。96年東京大学文学部在学中にインターネット関連の有限会社オン・ザ・エッヂを設立、97年株式会社に組織変更、東大を中退、サイバーエージェント取締役、2000年エッヂコマース会長、2002年ライブドアの営業権を獲得、2004年社名をライブドアに変更、社長兼最高経営責任者に就任

 近鉄球団の買収が失敗に終わり、8月からはプロ野球への新規参入を目指してきましたが、11月2日のオーナー会議でライブドアは落選してしまいました。仙台市民からすごく期待されていたことに対しては、期待に沿えず申し訳ないというしかないですね。

 ただ、選ばれた楽天と比べてうちが力不足というんだったらあれだけど、全然そうでないので、だから、落ちてどうかと聞かれても、あまり考えてないし、どういうふうに言っていいのかわからないですけどね。僕はいろいろなことをやっていて、野球はそのうちのひとつでしかないし。

 だけど、(審査に関して)まさかこんなにひどくはないだろうなと思っていたのは、それは甘かった。選ぶ人も人間だからちゃんと良心があってどうなったらプロ野球がよくなるか、しっかりと考えているんだろうなと思っていたけれども、そうじゃなかった。

 今回のことで、プロ野球の組織が”読売クラブ”だったということが、よく分かりましたよ。それは1つの収穫だったかな。これは俺様の領土なんだから俺様が全部決めますという俺様ルール、読売ルール名わけです。要はルールを決める人と、それを実行する人が分権されていない状況でした。

 最初から楽天と決まっていたのかどうかは、どうなんですかね。まあ、とりあえず、どっちに決まってもいいじゃないですかというのがあるんですよ。今までのプロセスで言えば、仙台に新球団ができて、2リーグ制を維持できる。それで9割9分オーケーでしょう。うちが入るか入らないかは、1%未満のどうでもいいことです。

「経営マシン」に感情はない

 新規参入の審査結果の発表があった2日は、仙台にいました。ホテルの僕の部屋にスタッフが集まっていて、みんなはテレビを見ていましたが、僕はメールを読んだり返事を書いたりと、ずっと仕事をしていました。
 副社長が電話を受けて、その直後に落選を知りました。その瞬間どう思ったかと聞かれても、特に何も。「ああ、そうなんだ」と。僕、感情がない人間なので、非常にあっさりしているんですよ。悪いことはすぐ忘れちゃう(笑)。僕は経営者なので、そういう人間的な感情なんか別に排除したっていいわけでしょう。経営マシンだから。

 僕ね、プラスの予測しか立ててないんです。今回の場合って、別に負けたときのことなんか考える必要ないじゃないですか。負けたら会社がつぶれるのであれば、それは考えなきゃいけないですけど、リスクはゼロに近いわけですから。経費だって、ほとんどつぎ込んでない。これからというところですよね。

 だから落選しても、特に何も思わないし、考えなかった、僕はね。うちの結構、悔しがっていましたけど。考えたといえば、その後記者会見が予定されていたので、最初に何を言おうかなぐらい。「草葉の陰から祈っています」というのは、話しながら思いついたアドリブです。

 記者会見の模様を「目は充血し、悔しさを隠し切れない」とか書かれたけど、コンタクトを長くつけているので、最近ずっと充血気味です。寝不足もありますが。まあ、皆さん、そう書きたかったのかもしれませんね。

 仙台の方々には支持してもらい、落ちた後もいろいろとおっしゃっていただきましたけど、僕が球界を救ったなんていう自負はないですよ。ちょっとぐらいはプロ野球の発展に貢献したかなと思うけど、0.5%ぐらい。触媒みたいなものでうしょ、ピッピッと。

 宮城県の浅野史郎知事には「うちのことはもう忘れてください」と言いました。楽天球団を応援してあげないと、仙台からいなくなっちゃう可能性があるから。三木谷(浩史・楽天社長)さんの横にいつもいるおっちゃん、いるでしょう。楽天顧問の井上ビジネスコンサルタンツの井上(智治)さん。いろいろ耳にする方なので、応援しないと、そういうのを平気でやるかもしれない。それは(仙台の)みんなに言っておいたんですよ。ヤバイよって。

 だからうちは今後、仙台ではプロスポーツはやらないですよ。やるべきじゃないと思うし、また変なことになってもしょうがないので。

 経緯を振り返ると、昨年くれに福岡で後援したときに、ダイエー球団の人が来ていて、「堀江さん、うちの買収に興味がありますか」みたいな話をされたことが、プロ野球にかかわることになった、そもそものきっかけです。興味あるよ、あるよと言いました。

 僕の野球そのものに関する興味は、一般市民と一緒ですよ。友達に誘われてナイターに見に行ったこともありますし、好きか嫌いかでいえば好きなほうです。けれども、特にどこのファンでもないし、小さい頃に野球をやっていたわけでもない。それに、そんなに野球を見に行く暇もテレビを見る暇もないので、野球が好きだなんて、おこがましいことはいえないですね。

 じゃあ、ここまでかかわった僕自身のモチベーションは何かと言うと、それはやっぱり会社のブランディングです。実際に(広告宣伝効果は)でかかったでしょう。やっぱり、それなりに効果はあるなと。

 僕は株主利益のことしか考えていないですよ。うちはプロ野球をやっても全然リスクがない。だって、実際に参入を試みて、何かマイナスがあったかと言うと別にないでしょう。かかった経費も、多分、1000万円未満ですよ。それぐらいは元を取ったと思いますけどね。

 それで参入できて、黒字経営ができれば、これは儲けものだと思ったのは確かです。ブランディングができて、儲けを出せたら最高じゃないですか。黒字は本当に出せると思っていたんですよ。近鉄球団にしても、やり方を変えれば、正直、初年度から黒字を出せると思っていました。

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その2「楽天執行役員にスパイ疑惑」に続く

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