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タグ:夜間取引

東京証券取引所[ ネット証券Blog ] 
東京証券取引所が、「現物市場の取引時間拡大(いわゆる夜間取引実施)に向けた研究会の設置について」というお知らせで、研究会の【検討事項】や【開催日程】、19名の【委員名簿】を公表しました。今回はその委員とその構成について少し書きたいと思います。

■ 東京証券取引所 お知らせ
現物市場の取引時間拡大に向けた研究会の設置について(PDF)

【検討事項】
  • 夜間時間帯における売買機会の提供に係る論点の抽出・整理
  • 各論点への対応方法
  • その他(後場の取引終了時刻の延刻に係る論点の抽出・整理及び対応方法等)
【開催日程】
2014年2月初旬に初回の研究会を開催し、同年春までの間に4回程度の開催を予定

委員の所属の内訳は以下のとおり。

証券会社 12名 大手証券 3名 計19名
中堅証券 3名
外資系証券 3名
ネット証券 3名
投資信託会社 1名
信託銀行 1名
商社 1名
シンクタンク 1名
学識経験者 3名


19名のうち、過半数を超える12名が証券会社のトップまたは役員で、さらに内訳を見ると、大手証券、中堅証券、外資系証券、ネット証券から3名ずつとなっており、バランスをとるように配慮がされているようです。

ネット証券

ネット証券からは、PTSではなく東証による夜間取引導入を主張し続けていた松井証券の松井道夫社長が、初めて議論の場に直接参加。同社は12月に「夜間市場を開設するように求める要望書」を提出しています。ただし、その根拠となっている個人投資家向けアンケートが東証からの要望だったというマネックス松本大社長のコメントがあったため、東証のステマ活動だったのではないかという意見もあります。そうだとすると松井証券もこれに一枚噛んでいる可能性が考えられますね。

マネックス証券の松本大社長は最近のインタビューで、「ネット証券業界として夜間取引の実現を要望したわけではありません。」と発言しています。夜間取引は機関投資家の参加を促すために慎重に進めるべきと考える慎重派です。なお、同社は夜間取引PTS「マネックスナイター」を運営していた実績があります。

余談になりますが、松井道夫氏と松本大氏というネット証券業界のビッグ2が同じ会議に参加するのも初めてのことかもしれません。松井氏が会長を務めていた(今は亡き)ネット証券評議会には、マネックス証券は参加せず、松井氏は「ジョインベスト証券やマネックス証券も東証の夜間取引導入に賛成するのであれば、ネット証券評議会に参加してもよい」と発言していました。

カブドットコム証券の齋藤正勝社長も委員に専任されています。齋藤氏は1月24日の決算会見で「ネット証券では総論として反対する人はいない印象だ。やるためにはどうしたらいいだろうと、前向きな議論になるだろう」と発言。同社はPTSによる夜間取引から撤退した経緯があるため夜間取引導入を主張しにくい面もありますが、基本的には賛成の立場のようです。

一方、個人委託売買代金シェア1位のSBI証券、2位の楽天証券からは委員が専任されませんでした。SBI証券はPTSで夜間取引サービスを提供しているため東証とは競合関係にあります。楽天証券は個人投資家向けアンケートを実施し、その結果を公表しているので賛成の立場と見られますが、委員は出してません。GMOクリック証券もアンケートを実施していますが同じく委員は出ず。夜間取引の賛否はどうであれ、業界活動に力をいれるかどうかは会社によってまちまちということなのでしょう。

大手証券

野村・大和・日興の大手3社が揃い踏みになりましたが、こちらはトップではなく役員が選任。大和証券グループ本社の日比野隆司社長が「切迫したニーズも必然性もない。慎重に検討してほしい」と否定的な発言をしているように、反対の立場と考えられています。なお、大和証券は「ダイワPTS」という夜間取引サービスを運営していたことがあります。

中堅証券

中堅証券からは立花証券、エース証券、丸三証券が参加。

立花証券はe支店に加えてリテラ・クレア証券からオンライントレード事業を買収し、ネットにも力を入れていますが、石井登社長の実父の石井久氏(元社長)は、「あまり感心しません。深夜に取引をやれば、証券会社は従業員に残業代を出さなければいけない。やりたい証券会社とやりたくない証券会社があるでしょう。労働時間が長すぎるのは良くありません。今は証券界はもうけていますが、マイナスも計算したほうが良いのではないでしょうか」と従業員の負担を理由に否定的な発言をしています。長男の登氏も同意見なのか違うのか気になります。

エース証券、丸三証券もオンライントレードをやっているものの、対面取引もありますので夜間取引に反対する可能性があります。なお、丸三証券はマネックスナイターに参加していたことがありますね。

その他、学識経験者など

その他の市場参加者の動向については詳しくないので書けません。3名の学識経験者は中立的な立場で意見をする可能性や、東証にとっての国際競争の観点で夜間取引の必要性について意見する可能性が考えられます。なお、座長である大和総研の川村雄介氏は長崎大学や一橋大学で教授を務めていたことがあるため、実質的には学識経験者と考えていいでしょう。



とりあえずは1回目の研究会でどんな議論が出るのか注目したいと思います。4回で議論が尽くされるかは不明ですが、あくまで研究会。結局は東証(日本取引所グループ)が判断する問題ですが、すんなり行くでしょうか。



【現物市場の取引時間拡大に向けた研究会 委員名簿 平成26年1月31日現在】
氏名(敬称略) 所属
川村雄介 ※座長 (株)大和総研 副理事長
池尾和人 慶應義塾大学経済学部 教授
石井登 立花証券(株) 代表取締役社長
乾裕 エース証券(株) 代表取締役社長
宇野淳 早稲田大学大学院ファイナンス研究科 教授
大森進 UBS証券(株) 代表取締役社長
岡田譲治 三井物産(株) 代表取締役専務執行役員CFO
川本裕子 早稲田大学大学院ファイナンス研究科 教授
小祝寿彦 丸三証券(株) 取締役常務執行役員
児玉哲哉 バークレイズ証券(株) 副会長
齋藤正勝 カブドットコム証券(株) 取締役代表執行役社長
ショーン・ローレンス エービーエヌ・アムロ・クリアリング証券(株) 代表取締役
對間久文 SMBC日興証券(株) 常務執行役員
寺口智之 野村證券(株) 執行役員
夏目景輔 大和証券(株) 執行役員
成川順一 三菱UFJ信託銀行(株) 常務執行役員
松井道夫 松井証券(株) 代表取締役社長
齋藤正勝 カブドットコム証券(株) 取締役代表執行役社長
松本大 マネックス証券(株) 代表取締役社長CEO
村上雅彦 日興アセットマネジメント(株) 代表取締役副社長

松井道夫[ ネット証券Blog ] 
松井証券の、松井道夫社長は、2014年3月期第3四半期決算の決算発表で、「夜間取引が始まれば市場がもう一度変わるきっかけになる。市場の厚みを増すのが我々の使命だ。」と夜間取引の導入を求めました。また、「TOPIX100」の構成銘柄の刻み値を縮小したことについて「いい影響が出ている」と評価しました。



【日経新聞】松井社長、夜間取引「市場が変わるきっかけに」 導入求める
 松井証券(8628)の松井道夫社長は29日、東京証券取引所が日本株の夜間取引を検討していることについて「夜間取引が始まれば市場がもう一度変わるきっかけになる」と話した。その上で「市場の厚みを増すのが我々(市場関係者)の使命だ。トライアンドエラー(の繰り返し)でいろいろやることが大事だ」と述べ、夜間取引の導入を改めて求めた。

松井証券はネット証券黎明期から一貫して夜間取引の導入を強く求めています。これまではずっと空振りに終わっていましたが、ようやく東証のトップが前向きになったことで、時間はかかりそうですが導入する方向に舵が切られたと見ていいと思います。今後は「取引時間」や「導入時期」をどうするかという条件闘争になります。松井証券をはじめ夜間取引を求めている証券会社は、そろそろ取引時間などの夜間取引の具体的な内容を検討・意見していくべきでしょう。

 主要企業を組み入れた指数「TOPIX100」の構成銘柄の一部について、東証は刻み値を縮小した。個人の株式委託売買代金に占める刻み値縮小銘柄のシェアが伸び「いい影響が出ている」と評価した。

 松井は信用取引の手数料や金利をゼロにするサービス「1日信用」を展開し、小さな値幅での売買を繰り返して利益を積み上げたい投資家の獲得が進んでいる。「(適用銘柄が大手銀などに広がれば)投資家は一気に松井に来て、(短期売買する)デイトレーダーの獲得で稼いでいた他社が困ることになる」との持論も披露した。

東証がTOPIX100の一部の構成銘柄の刻み値を縮小したことについては、通常の5本や8本の板で見える価格帯が狭くなるため、ネット証券を使う個人投資家には不利になり、アルゴリズム取引を使う機関投資家に有利であると言われていました。導入に向けてのヒアリングではネット証券からは反対の意見が出ています。

しかし、この松井道夫社長の話では、松井証券には手数料や金利をゼロにできる「1日信用取引」があるため、1円抜きなどで細かい利益で稼ぐデイトレーダーも多いようです。7月22日からは、3000円未満のTOPIX構成銘柄についても刻み根を縮小することが予定されています。(フェーズ2)

参考:ネット証券Blog
TOPIX100構成銘柄の呼値の単位が2014年1月14日から変更(縮小)される件と影響について

松井道夫社長の持論によると、銀行株なども刻み値が縮小されればデイトレーダーが他社から松井にきて、他社が困るとのことですが、「1日信用取引」は日計りであれば手数料が無料であるため、売買代金のシェアは拡大するものの収益への貢献は大きくないと考えるのが普通です。薄利多売で収益を積み上げるつもりかもしれませんが、果たして業績拡大につながるのでしょうか。

日本取引所グループ斉藤惇CEO[ ネット証券Blog ] 
日本取引所グループ斉藤惇CEOは、複数メディアとのインタビューで、日本株の夜間取引市場の開設の是非について「私は前向きだ。中立的にというより、むしろ前向きに検討したい」と発言。また、「(検討に)1年かける必要はない」と語り、数カ月以内に結論を出す考えを示したそうです。




日本経済新聞
日本取引所CEO、夜間取引「数カ月で結論」 研究会近く設置
ブルームバーグニュース
日本取引所CEO:夜間取引実現に意欲、指数商品相互上場も
ロイター
夜間取引は研究会で議論、仮に開設でも数年先=JPX斉藤CEO
産経ニュース
日本取引所、夜間取引導入に意欲 


斉藤惇CEOは夜間取引に前向き
「中立的にというより、むしろ前向きに検討したい」(ブルームバーグ・ニュース)
「私は前向きだ」(産経ニュース)
「午後3時の取引終了後に企業が情報を出すが、それを踏まえて取引する場が日本にはない。先に米国のADR(株と同じように売買できる預託証券)などで値が動いてしまう」(産経ニュース)
大手証券などからは「世界の主要市場で夜間取引は行われていない」との主張もあるが、「日本は(欧米の主要市場の取引時間が夜間にあたる)極東に位置する。独特の問題があり、参考にならない」と主張(産経ニュース)



このように、東証(日本取引所グループ)のトップが夜間取引に前向きな姿勢を強く明らかにしたのは、初めてのことです。夜間取引が導入される可能性はかなり高まったと考えていいと思います。



東証が夜間取引に前向きになった背景
・上場企業となり、事実上国内独占企業であるものの国際競争にはさらされている
・次期システム(新アローヘッド)の収益を増やしたい
・24時間取引可能で世界で有数の取引量を誇るFXの台頭
・SBIジャパンネクストPTSの取引が徐々に増えていること
・ETF、REIT、ETNなど市場で売買できる商品の増加
・景気回復により取引所・証券会社にシステム投資の余力ができた
・小さな証券会社が廃業し、会社数が少なくなった



近日中に研究会を開いて慎重に検討していくとなっていますが、過去にも夜間取引の議論はされているので、課題はほぼ出尽くしていると思われます。


2010年7月26日 取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー
2010年11月24日 「取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー」に寄せられた意見の概要― 要約 −
2010年11月24日 「取引時間の拡大に関するディスカッション・ペーパー」に寄せられた意見の概要


夜間取引の主な課題
  • 海外で例がない
  • 実務的問題(投信の基準価格のタイミング)
  • コスト、費用対効果
  • 流動性、価格形成、価格発見機能



おそらく、上3つの課題はクリア(というか一部は無視)となると思われます。
議論の余地があるのは流動性でしょう。既にPTSで取引されていて流動性が無くても問題にはなっていないということで進めてしまうのかもしれません。

今後は研究会の参加者の構成、議論の内容に注目していきたいと思います。

松本大[ ネット証券Blog ] 
DIAMOND ONLINEに、マネックスグループ会長の松本大氏のインタビュー記事が掲載されていました。インタビューで、松本会長は、ネット証券各社が行った夜間取引に関する顧客向けのアンケートは東証の要望で実施したものだったことを明かしています。


■2014/01/08 マネックスグループ会長 松本 大 個人だけでは成立しない 夜間取引には機関投資家を(DIAMOND ONLINE)
──東京証券取引所が夜間取引の実施を検討しており、ネット証券各社の顧客向けアンケートでは、8割前後が「利用したい」と回答しました。

 まず、アンケートは東証の要望で実施したのであって、ネット証券業界として夜間取引の実現を要望したわけではありません。アジアでの地位向上という東証の狙いはわかりますが、いざ実施しても、機関投資家を巻き込まないで、ネット証券の個人投資家の取引だけで適正な価格形成ができるかどうか不安です。

松本大会長の発言で確認すべき点は以下の2点です。
  1. アンケートが東証の要望であったこと
  2. ネット証券業界として夜間取引の実現を要望したわけではないこと


1 アンケートが東証の要望であったこと

2013年11月11日の産経ニュースでは、東証が証券会社などの関係者から意見聴取を始めたと報じています。

■2013/11/11 東証が夜間市場の開設を検討 ニーズ次第で2015年にも(産経ニュース)
東京証券取引所が夜間取引市場の開設について検討に入り、証券会社などの関係者から意見聴取を始めたことが11日わかった。

ネット証券業界では、松井証券、楽天証券、マネックス証券、GMOクリック証券の少なくとも4社が顧客向けに夜間取引のアンケートを実施したことが確認されています。

これらのアンケートが直接的に東証からの要望で行われたのかはわかりませんが、意見聴取の回答方法として、一部の証券会社が独自に顧客アンケートという方法を取った可能性が高そうです。

なお、SBI証券については、ジャパンネクストPTSが東証と競合することもありアンケートを取らなかったことが考えられます。

カブドットコム証券については、既に2010年にアンケートを実施していることや、2011年にPTSサービスを終了した過去があるため、顧客向けアンケートを実施するのを控えたのかもしれません。


2 ネット証券業界として夜間取引の実現を要望したわけではないこと

アンケートを取った証券会社の中で、松井証券は東証に要望書を提出するという最も積極的な動きを見せました。また、11月10日の日経新聞では、アンケート開始前から要望書を提出することが報じられていました。

■2013/11/10 東証、夜間市場の創設検討 午後7時〜11時半有力 (日本経済新聞)
東証は証券各社に参加を強制せずにそれぞれの意思に任せる考えで、すでに証券各社に計画の概要についての説明を始めた。ネット専業証券は夜間取引に伴うコスト負担が小さく、おおむね開設に賛成の立場。松井証券は近く夜間市場の開設要望書を東証に提出する。

テレビ東京でも夜間取引の要望書を提出したことが映像ニュースとして報じられていましたので、11月10日の時点で東証や松井証券からマスコミ(日経)に対して、アンケート実施や要望書提出について話(情報)がいっていたようです。

その後、大和証券の社長が否定的な意見を述べると、ネット証券が賛成、対面証券が反対という報道がされるようになってきます。

■2013/12/18 東証「夜間取引」に渦巻く賛否…大手証券×ネット証券 焦点は取引量(産経ニュース)
東京証券取引所が開設を検討している夜間取引市場をめぐり、証券会社間の考え方の違いが鮮明になっている。ネット証券大手の松井証券が開設を求める要望書を東証に提出する一方で、店舗を持つ対面型の大手、大和証券グループ本社の日比野隆司社長は否定的な見解を示す。

このような報道によって、ネット証券業界は夜間取引に賛成だという印象が広まりました。

マネックスの松本会長は、これに待ったを掛けたかったのだと思われます。

マネックス証券でもアンケートを実施しており、結果は発表していませんが、賛成が多数だったと思われます。しかし、松本大会長は、夜間取引の参加者が個人投資家ばかりでは、価格発見機能が不十分で顧客に不利益になる恐れが有るため、機関投資家の参加を促すために慎重に進めるべきだという意見を持っています。

このように報道では、ネット証券業界全体が夜間取引に積極的のように見られましたが、マネックス証券のように業界内にも慎重な意見もありますので、報道にあるような「2015年にも実施」というのは簡単にできることではないでしょう。

松井証券[ ネット証券Blog ] 
松井証券の「株式の夜間取引に係るアンケート」の結果によると、夜間取引の利用希望について、「ぜひ利用したい」「どちらかというと利用したい」という回答が約 8 割に達したそうです。

また、松井証券は12月10日午後に東証に対して、松井道夫社長の名前で「日中に取引を行うことができなかった個人の取引機会を拡大するものとして、広く受け入れられる可能性が高い」と夜間市場開設の要望書を提出しています。 【松井証券 夜間取引アンケートの結果を発表、79%が利用を希望。東証に要望書を提出。】の続きを読む

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